
トランプ米大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が30日に韓国の釜山で会談しました。トランプ氏は中国に100%の追加関税をかけると脅していましたが、結局は米側が対中関税を10%下げることで決着しました。中国が米国との貿易戦争を有利に進めている印象はぬぐえません。
元アジア開発銀行(ADB)総裁の中尾武彦氏はラジオNIKKEIのポッドキャスト番組「NIKKEIで深読み 中国経済の真相」に出演し、中国は米国に「負けない」という自信を深めており、今後、トランプ政権に妥協する可能性は低いとの見通しを示しました。先週、上海で開かれた国際金融会議に出席し、中国側の関係者と接してそう感じたといいます。
自信の背後にあるのは、中国が世界生産の7割を握るレアアース(希土類)です。中尾氏は「レアアースが非常に有効な武器だとわかった」ことが中国の強気につながっているとみています。
今回の米中首脳会談では、中国側がレアアースの輸出規制を1年間凍結することで合意しました。しかし、習政権がレアアースという最強の「武器」を手放すとは思えません。トランプ政権が無理難題をふっかけてくるたびに、レアアースの輸出を絞って相手を黙らせようとするでしょう。
中尾氏は23日に閉幕した第20期中央委員会第4回全体会議(4中全会)で、習政権が「人民元の国際化」を進める方針を示したことにも注目しています。米国がドルを経済制裁の手段として使う姿勢を鮮明にしており、それに対抗するために人民元の国際化に本腰を入れ始めた可能性があるとみているからです。
中国は米国との長い戦いに備えて着々と準備を進めているようにみえます。中尾氏の解説は以下のポッドキャストでお聴きいただけます。
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(編集委員 高橋哲史)
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