【ワシントン=共同】米紙ワシントン・ポスト電子版は20日、英語が堪能でない小中高などの児童・生徒に配慮するよう定めた長年の指針をトランプ政権が撤回したと報じた。移民の子どもたちなど米国内には英語を流ちょうに話せない生徒が約500万人おり、大部分が米国生まれだとされる。英語学習支援が滞れば、米社会に適応するのが難しくなるなど悪影響が懸念される。

トランプ米大統領は3月、英語を米国の唯一の公用語に指定する大統領令に署名し、非英語話者への支援策を相次いで取りやめている。

米政府は長年、英語が堪能でない人々に必要な支援を提供しないことは公民権法が禁じる「出身国に基づく差別」に当たるとの立場を取ってきた。指針は2015年に教育省や司法省が共同で出したもので、各州の教育機関に対し、英語が不得意な生徒を支援する義務があることを説明し、助成金の活用法などを紹介していた。

教育省は指針を撤回した理由について「政権の方針に合致していないためだ」と説明した。人権団体からは、資金不足に悩まされる地域などで英語学習支援のサービスが低下する恐れがあるとの声が上がっている。

同紙によると教育省は3月以降、英語学習関連部署の職員をほぼ全員解雇。英語学習者の教育費支援プログラムへの資金提供を打ち切るよう議会に要請している。

住宅都市開発省のターナー長官は今月19日、これまで複数言語の説明を掲載していた同省のホームページを英語のみに変更したとX(旧ツイッター)に投稿。これに対し、移民を多く受け入れるカリフォルニア州のニューサム知事(民主党)の報道担当アカウントがスペイン語で「地獄に落ちろ」と切り返すなど、反発も広がっている。

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