中海・宍道湖・大山圏域の市長や山陰両県の企業経営者などが、10月にインドを訪問しました。
訪問の主な目的は、インド南部にあるケララ州との経済交流拡大に向けた連携強化です。
視察団にはTSKの記者が同行し、現地での交流の成果、山陰の経済波及効果の可能性などを取材。
巨大市場・インド進出のチャンスをうかがう山陰の企業にスポットを当てました。
インドにとって長年の課題、「下水処理」の問題に目をつけ、鳥取市の企業が自社開発した水の浄化装置を売り込みました。
相手国の社会課題の解決策にビジネスチャンスを見出します。

インド南部ケララ州。
首都デリーから直線距離で約2200キロ、空の便で約3時間のところに位置しています。
近年は国内外のIT関連企業などが進出し、一方で漁業や農業・観光も盛んな地域です。

ケララ州の主要都市・コチ市で、10月に日本とのビジネス促進イベント「ジャパンメラ」が開かれ、現地の日系企業も参加しました。

山陰からも観光やITなど5つの企業・団体が出展。
製品やサービスをPRし、インド企業とのマッチングを図りました。

出展企業のひとつ、鳥取市の「ノーチスラボ」。
水の浄化装置の開発・製造などを手がけています。
「ジャパンメラ」ではインドで長年、課題となっている「下水処理」の問題に目をつけ、独自開発した水の「浄化液」の売り込みを狙います。

10月10日、鳥取市河原町の「ノーチスラボ」の本社。
視察団に参加する小杉拓利さんが「ジャパンメラ」出展の準備を進めていました。

ノーチスラボ・小杉拓利さん:
Q.売り込む製品は
こちらの浄水キットになります。

下水処理など「水」にまつわる課題を抱える巨大市場・インド。
進出の足掛かりとして売り込みを目論むのが自社開発の浄水装置です。

ノーチスラボ・小杉拓利さん:
インド国内は、かなり水質汚染が深刻と聞いている。まずはインドの水道水、蛇口から出たあとの水を飲めるようにしたい。

ジェトロ(日本貿易振興機構)によると、インドでは急激な都市化に伴ってインフラの整備が追いつかず、家庭などから出る汚水の約7割が未処理の放流されるといいます。
また農村部では、上水道が普及してい地域も少なくないのが実情です。

この会社が開発した装置では、ミネラルなどを含む特殊な浄化液が汚水に含まれる有害物質を吸着。
汚れの粒子を大きくしてフィルターでろ過することで雨水や汚染された水を浄化、処理された水は飲み水として利用できます。

杉谷紬生記者:
まったく泥のにおいはなく、口当たりもまろやかでおいしいです。

水道設備が整備されていない地域でも衛生的な水が確保できる、この浄水装置はインドにうってつけの商品です。

ノーチスラボ・小杉拓利さん:
水質浄化液は特殊なもの。どれだけ現地の方に伝わるかが不安です。
どうしても通訳を介すことになる。ご理解いただければ良さがわかってもらえる。


そして「ジャパンメラ」の会場。
ノーチスラボのブースには初日からインド企業の担当者が続々と訪れていました。
続々集まる様子衛生的な水環境への関心の高さをうかがわせます。

順調な滑り出し。
浄水装置の機能や、気がかりだった浄化液の説明もしっかり伝わっているようです。

しかし、さすがは「結果」を重視するといわれるインドのビジネスマン。
価格についてズバズバと切り込み、厳しい「値切り交渉」を仕掛けてきました。

現地企業の担当者:
1リットル、6ルピー?高いね…。

通訳:
とにかく提示できるベストプライス(を求めている)。もっと安くならないかと言っている。

インドでは、ミネラルウオーター1リットルの価格が日本円で約26円。
一方、この会社の浄化液のコストは飲料水1リットルあたり約10円。
十分太刀打ちできそうなコストですが、インドの感覚では浄水にかかる「手間」がコスト差に見合わないというのです。

現地企業の担当者:
とてもおもしろい。インドは水の問題に直面しているから、こういう技術はすごく需要がある。ただ問題は価格で、きょうはそこについて話したんだ。

ノーチスラボ・小杉拓利さん:
どういう価格が適正なのか市場調査も含めてきていますから、うまく探っていけたら。

ノーチスラボのブースには、2日間で約60人が来場。
インド市場での適正価格や「水問題」の地域差などについて、現地の生の声を聞くことができました。
また、家庭だけでなく食品や水産加工などの業種で需要もあることがわかり、本格的な進出に向けて収穫がありました。

ノーチスラボ・小杉拓利さん:
サンプルないのとか、どうやったら買えるのとか具体的な質問も多かったので、いい感じかなと。うまくコミニケーションを取って具体的な話を詰めていければ。

インドが長年抱える課題の解決にビジネスチャンスを見出したノーチスラボ。
今後、現地の業者とも協力して、インド国内の需要や水質についての調査を継続。
巨大市場への進出をめざすことにしています。

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