
【ニューヨーク=吉田圭織】12日の米株式相場は続伸し、ダウ工業株30種平均は前日比326ドル高の4万8254ドルと最高値をつけた。米政府閉鎖が解除へ向かうことへの期待が相場を支えた。一方、ハイテク株が多いナスダック総合株価指数はAI(人工知能)の過剰投資への懸念が根強く、前日比0.3%安と続落した。
ダウは初めて4万8000ドル超えて取引を終えた。史上最長となった政府閉鎖の終了することで、米国の経済活動が正常化することへの期待が高まっている。政府閉鎖で、政府職員の給与支払いが停滞していたほか、主要空港での運航削減や低所得層の支援停止も引き起こしていた。
ダウ構成銘柄ではゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、キャタピラーなどが買われた。ヘルスケア株のユナイテッドヘルス・グループやメルク、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も上昇した。野党・民主党が求めていた年末に失効する公的医療保険の補助金延長は12月中旬までに採決することが決まり、買いを支えた。
同時にこの日は金(ゴールド)価格も上昇した。価格の国際指標であるニューヨーク先物の中心限月12月物は12日、4200ドル台にまで上った。
民間の雇用サービス会社ADPが11日に発表した「全米雇用リポート」によれば、10月後半の米労働市場は約半月前に比べて減速した。政府閉鎖の解除後に発表される経済データでも同様の傾向が明らかになる可能性が高いとされ、安全資産の金が買われている。
こうした労働市場の減速を受けて、米連邦準備理事会(FRB)は利下げに動くとの予想が強まっている。「2026年初めまでに2回の利下げ実施を予想している。株式や債券、金にとっては有利な環境となるだろう」とUBSグローバル・ウェルス・マネジメントのウルリケ・ホフマン・ブルハルディ氏は分析した。
ナスダックは前日比61ポイント安の2万3406と下落した。AI投資が過剰で収益を悪化させるとの懸念が広がっている。マイクロソフトやアマゾン・ドット・コム、アップル、エヌビディアはそれぞれ下げた。
S&P500種株価指数はほぼ横ばいの0.1%高だった。S&P500種の業種別では、上昇率上位にヘルスケアや素材、金融などが入った。下落率上位には通信やエネルギーが入った。
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