台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁をめぐり、中国外務省が14日夜、中国国民に日本への渡航を避けるよう呼びかけた。日中間の人的交流の雰囲気が著しく悪化したため、中国人の身体と生命の安全に「重大なリスク」が生じたとしている。日本旅行に向かう市民はどう受け止めているのか。一夜明けた15日朝、上海の浦東空港を訪ねた。
同日午前10時(日本時間同11時)、空港内の大阪行きのチェックインカウンターには、中国の赤いパスポートを片手にスーツケースを引く中国人たちの長蛇の列ができていた。カジュアルな格好が目立ち、ほとんどが観光客のようだ。家族連れや若いカップルからは笑い声も聞こえる。
中国外務省の注意喚起は14日夜。日本では今年になって治安が不安定になり、中国国民を狙った犯罪が多発しているなどとしたうえで、「日本の指導者が台湾に関して露骨に挑発的な発言を行い、日中間の人的交流の雰囲気が著しく悪化させるとともに、中国人の身体と生命の安全に重大なリスクをもたらしている」とした。
ほどなくして中国の多くの国内メディアが報道。日付が変わる頃には中国国内のSNS「微博(ウェイボー)」のアクセスランキングで上位に入っていた。
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そうした中で日本をめざすのはなぜか。手続き待ちの列に並んでいた5組に話しかけてみた。
子連れの30代の夫婦は、外務省の注意喚起を知ってはいるが、旅行の計画は変更しないという。理由を尋ねると「政治は関心がない」と多くを語らなかった。ほかの観光客たちも「ニュースは見ている」ものの、それ以上は目線をそらし、口を閉ざした。こうした情勢で日本へ渡航することに対して後ろめたさを感じているように見えた。
そんな中、大学を卒業したばかりという20代の女性が取材に応じた。報道は知っているが「政治の話は私とは関係ない」と話す。これまで欧州など多くの国へ観光したが差別やトラブルに遭ったことはなく、特に日本の治安には安心感があるという。「仮にチケットがキャンセルできても、予定を変更するつもりはない」と話した。
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