
【ワシントン=芦塚智子】トランプ米大統領は17日、少女買春などの罪で起訴され自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン氏に関する疑惑を巡り、議会が関連資料の公開を義務付ける法案を可決すれば「もちろん署名する」と述べた。米メディアによると、下院は18日にも法案を採決する見通しだ。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し「我々はエプスタインとは何の関係もない。彼の友人はみんな民主党だった」と主張。「エプスタイン問題が共和党の素晴らしい成功を損なうことになってほしくないだけだ」と述べた。
トランプ氏は先週まで、公開法案の可決を阻止したい姿勢をにじませていた。エプスタイン氏の疑惑は民主による「でっち上げ」だと主張し「一部の弱い共和党議員が民主党の餌食になっている」と採決の動きに同調する共和議員を批判していた。米メディアは政権幹部が採決阻止のために共和議員に圧力をかけたとも報じていた。
ところが16日夜、トランプ氏はSNSへの投稿で一転して「下院の共和党議員は公開のために投票すべきだ」と呼び掛けた。「我々には何も隠すことがないからだ」と強調した。
民主議員に加えて数十人以上の共和議員が法案に賛成する可能性が報じられたことから、トランプ氏は採決の追認に転じたとみられる。
トランプ氏の容認により、下院が公開法案を可決する公算が大きくなった。ただ、上院での採決の行方は不透明だ。
ボンディ司法長官はトランプ氏の指示を受け、エプスタイン氏とクリントン元大統領ら民主関係者とのつながりを捜査すると表明している。この捜査を理由に政権が資料公開を拒否することも考えられる。
エプスタイン氏はトランプ氏を含む政財界の有力者と広い交友があった。「口封じのために殺害された」との陰謀論がある。トランプ氏の支持者にも陰謀論の信奉者がおり、資料の全面公開を求める声が強い。
トランプ氏はエプスタイン氏と交友関係があったことは認めているが、エプスタイン氏が起訴される以前に関係を絶ったと説明している。
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