【NQNニューヨーク=田中俊行】1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反落し、終値は前週末比427ドル09セント(0.89%)安の4万7289ドル33セントだった。前週末までの5営業日で2000ドル近く上昇していたため、利益確定や持ち高調整の売りが優勢だった。1日の米長期金利が上昇したのも株価を下押しした。

米連邦準備理事会(FRB)が9〜10日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決めるとの観測から、ダウ平均は前週末までの5営業日で1964ドル上昇していた。短期間での大幅な上昇に対して過熱感を指摘する向きもあり持ち高調整の売りが出た。

日銀の植田和男総裁は1日の講演で、12月の金融政策決定会合で「利上げの是非を適切に判断したい」と語った。早期利上げを示唆する発言だったとして同日の東京市場で日本の債券相場が下落(利回りは上昇)し、1日の米長期金利の上昇圧力となった。国内外の金利上昇が米株の売りを促したとの見方があった。

代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格が大幅安となった。情報サイトのコインデスクによると、1日午前に一時8万4000ドルを割り込み、前週末28日夕時点の9万1000ドル近辺から大きく水準を切り下げた。リスク資産の一角であるビットコインの下落で、投資家のリスク選好姿勢が後退した面があった。

1日発表の11月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は48.2だった。前月から0.5ポイント悪化し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(48.8)を下回った。

個別の項目では「新規受注」などが落ち込み、米景気は減速しているとの見方を強める内容だった。一方で「価格」は前月から上昇し、「物価上昇圧力が高まっているのではないかとの懸念を意識させた」(シーミス・トレーディングのジョゼフ・サルッジ氏)との声も聞かれた。

ダウ平均の構成銘柄ではメルクやアムジェン、マクドナルドが下げた。ユナイテッドヘルス・グループやゴールドマン・サックス、アメリカン・エキスプレス(アメックス)が下落した。一方、ウォルト・ディズニーやナイキ、エヌビディアが上昇した。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落した。終値は前週末比89.764ポイント(0.38%)安の2万3275.922(速報値)だった。米金利上昇を受け、ハイテク株にも売りが出た。ショッピファイやブロードコム、アルファベットが下落した。ビットコインを保有するストラテジーの下げが目立った。

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