タイ国会下院第1党で野党である国民党の議員チャイワット・サタウォンウィチット氏が11月12日に来日し、都内でメディアの取材に応じた。同党が、近く実施される見通しの次回総選挙で過半数を得て、政権奪還を目指していると語った。

 急進改革派の国民党は、前身となる前進党が憲法裁判所から解党を命じられ、昨年新たに立ち上がった。

 タイでは2023年の下院選後、第2党で、ポピュリズム政策を訴えたタクシン元首相派のタイ貢献党と、親軍保守派の諸政党が連立を組み、排除されたかたちの前進党は野党となった。

 今年8月、貢献党のペートンタン前首相が、国境紛争を抱えるカンボジアのフン・セン前首相との不適切な電話を理由に憲法裁判所により解任された。これを受け、国会で9月に首相指名選挙を実施。国民党は政治的主張が異なる親軍保守派のタイ名誉党党首・アヌティン氏を支持し、現政権が樹立した。

 チャイワット氏はこの日、国民党がアヌティン氏を支持した点について「(軍政期につくられた)憲法の改正と4カ月以内の解散総選挙を条件にした」と説明。議会で憲法改正へ向けた動きが進んでいるとし、「あとは4カ月以内の解散だけだ」と語った。

 次回総選挙では定数の過半数より20議席多い270議席を目標とするとしつつ、議席数と合意内容によっては、より多くの支持層を取り込めるタイ貢献党や名誉党との連立政権の可能性にも言及した。

 今回、来日したのはチャイワット氏と、元前進党議員ベンチャ・センチャントラ氏。東京大(目黒区)で研究者や報道機関を前に、カンボジアやミャンマー国境付近の特殊詐欺グループがタイ経済に及ぼす影響などについて語った。

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