【NQNニューヨーク=戸部実華】2日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、終値は前日比185ドル13セント(0.39%)高の4万7474ドル46セントだった。暗号資産(仮想通貨)のビットコインへの売りが一服し、投資家心理が改善した。このところ売られていたハイテク株への買いも、相場上昇を支えた。

情報サイトのコインデスクによると、代表的な仮想通貨であるビットコインの価格は前日に8万4000ドルを割り込む場面があったが、2日は一時9万2000ドル台を付けた。市場では「投資家がリスクを取る意欲を示すものだ」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)との声が聞かれた。

米連邦準備理事会(FRB)が9〜10日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げに動くとの観測も買いを誘った。米短期金利先物の値動きから市場が織り込む政策金利予想を算出する「フェドウオッチ」によると、同会合で0.25%利下げする確率は2日夕時点で9割近くとなっている。

トランプ米大統領は2日、FRB次期議長人事を2026年の早い段階で発表する意向を示した。足元では米国家経済会議(NEC)のハセット委員長を選ぶ可能性が高いと報じられている。米政権の意向をくんで来年も利下げが続くとの観測もある。

ハイテク株の一角が持ち直して「市場心理が上向いた」(ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)との見方があった。11月に株安が進んだエヌビディアやマイクロソフトが上昇した。前日に生成人工知能(AI)開発部門の組織再編などを発表したアップルも買われた。ダウ平均の上げ幅は一時300ドルあまりとなった。

ダウ平均の構成銘柄ではないが、データベースのモンゴDBと通信機器のクレド・テクノロジー・グループ・ホールディングが急伸した。ともにAI関連の需要が成長を支え、市場予想を上回る四半期決算と収益見通しを前日夕に発表した。AI投資の過熱感が意識されるなか、関連株の上昇は買い安心感につながった。

ダウ平均の構成銘柄では、ボーイングが10%高となった。UBSが2日に主催したイベントで経営陣が26年の航空機の納入やフリーキャッシュフロー(FCF)の回復に対して前向きな見通しを示した。キャタピラーやハネウェル・インターナショナルも上昇した。半面、ウォルト・ディズニーやコカ・コーラ、シェブロンは下げた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。終値は前日比137.752ポイント(0.59%)高の2万3413.674(速報値)だった。メタプラットフォームズやデータ分析プラットフォームのパランティア・テクノロジーズが上昇した。半導体関連株の一角への買いも目立った。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。