パキスタン軍を率いるムニール陸軍参謀長が4日、陸海空の3軍を統括する新設ポスト「軍最高司令官」に昇進した。地元紙ドーンなどが報じた。最大10年間の長期任用が可能で、政治的影響力がさらに強まるとみられる。

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 パキスタンでは、1947年の独立以来、クーデターを3度繰り返した軍部が、民政復帰後も強い権限を持ち、陸軍参謀長がこれまでも事実上の軍トップの地位にあった。

 2022年にその地位に就いたムニール氏は、今年5月のインドとの軍事衝突を率いた功績から、史上2人目となる陸軍元帥に異例の昇格。印パ間の停戦を仲介したとするトランプ米大統領から、ホワイトハウスでの昼食に招かれるなど、国際舞台でもシャリフ首相ら文民指導者をしのぐ存在感を示している。

 今回の人事はシャリフ氏が任命し、ザルダリ大統領が承認。シャリフ氏は声明でインドとの軍事衝突で「敵に屈辱的な敗北を与えた」などと功績をたたえた。ムニール氏は名実ともに3軍を率いる権限を得る一方、陸軍参謀長の地位も兼務する。

 ドーン紙によると、ムニール氏の任期は当面5年だが、再任によって2035年までの長期にわたり君臨する可能性があるという。昨年まで軍幹部の任期は3年で、文民政権にとって人事は軍部に対する数少ない牽制(けんせい)材料だった。

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