
【NQNニューヨーク=三輪恭久】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸して始まり、午前9時35分現在は前日比84ドル80セント高の4万8788ドル81セントで推移している。前日に付けた最高値を上回っている。これまでの利下げにより、米経済が底堅さを増すとの見方が株式相場の支えとなっている。
米連邦準備理事会(FRB)が3会合連続で0.25%の利下げを決め、パウエル議長は景気に配慮する姿勢を示した。12日朝には、2026年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つフィラデルフィア連銀のポールソン総裁が物価の上振れより労働市場の弱さに対する懸念が強いとの考えを示した。
シカゴ連銀のグールズビー総裁は12日公開の声明で、10日まで開いたFOMCで利下げに反対した理由について、物価を中心により多くのデータが得られるのを待つべきだったとの考えを示した。一方、12日朝に米CNBCの番組に出演した際には、26年に一段の利下げの余地があると述べた。
FRBの内部には物価の高止まりへの警戒が根強いものの、現在の引き締め的な金融政策を徐々に緩和する方向にあることが投資家心理の支えとなっている。ハイテク株から相対的に出遅れ感があった銘柄や景気敏感株への資金シフトが相場を押し上げているとの見方もある。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体のブロードコムが一時9%下落した。11日夕に発表した2025年8〜10月期決算では売上高と特別項目を除く1株利益が市場予想を上回った。人工知能(AI)向け半導体の受注が積み上がっているものの、経営陣が売上高総利益率について悪化する見通しを示し、株価の重荷となっている。
前日には多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も最高値を更新していた。週末を前に積極的に買いを入れる動きは限られ、持ち高調整や利益確定の売りが上値を抑えている。
ダウ平均の構成銘柄では、ボーイングやJPモルガン・チェース、ビザが高い。ユナイテッドヘルス・グループとトラベラーズも買われている。一方、マイクロソフトとシスコシステムズが下落している。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は続落して始まった。マイクロン・テクノロジーやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)といった半導体株が売られている。
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