
【ワシントン=芦塚智子】米中西部インディアナ州の州議会上院は11日、共和党を有利にする連邦議会下院の選挙区割り変更案を否決した。トランプ米大統領が区割り変更を要求していたが、共和議員の約半数が反対に回った。
同州では現在、連邦議会下院9議席のうち7議席を共和が占めている。区割り変更で民主党の2議席の選挙区も共和優勢になるとみられていた。
同州上院は50議席のうち共和が40議席と圧倒的多数だが、区割り案は反対31票、賛成19票で否決された。民主議員と共に共和議員の21人が反対票を投じた。
トランプ氏は10日のSNSへの投稿で、2026年の中間選挙で共和の下院多数派を維持するために「他州は喜んで、公に、簡単に選挙区割り変更を実施した」と主張。インディアナ州の共和議員が区割り変更に反対すれば、26年の共和予備選で対抗馬を立てると示唆し圧力をかけていた。
米メディアによると、トランプ政権はバンス副大統領が同州に2度出向いたり、同州議会議員をホワイトハウスに招いたりして区割り変更を可決するよう説得を試みた。
インディアナ州議会上院の共和トップで区割り変更案に反対したブレイ議員は11日の声明で、中間選挙で共和が下院の多数派を獲得することを望んでいるとしたうえで「多くの議員が(通常の区割り変更年の)中間の年に区割りを変更することが、その結果を保証する道とは考えていない」と述べた。
米下院選挙区の区割りは通常、10年ごとの国勢調査を受けて更新する。次の区割り変更は30年の国勢調査後のはずだった。しかし中間選挙で共和の僅差の多数派を死守するため、トランプ氏が共和地盤の各州に早急な区割り変更を求めている。
これまでに南部テキサス州が共和優勢の選挙区を5つ増やす区割り変更を実施し、中西部ミズーリ州と南部ノースカロライナ州も1つずつ増やす案を可決した。
これに対抗して西部カリフォルニア州は住民投票で民主が優勢な選挙区を5つ増やす案を承認した。
他州でも民主、共和両党がさらに自党に有利な区割り変更を試みる動きがある。ただ、党利目的が鮮明な恣意的な区割り変更を異例の時期に強行することについては、世論の反発や訴訟を懸念して両党の一部から消極的な声も出ている。
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