パレスチナ自治区ガザで、大雨による被害が拡大している。イスラエル側が停戦後も支援物資の搬入を制限するなか、冬の到来で人道危機の深刻化が懸念されている。

 ロイター通信などによると、ガザ南部のハンユニスの避難民キャンプで11日、テントで避難生活を送っていた生後8カ月の女の子の乳児が寒さで死亡。ガザを襲った大雨でテントが冠水し、母親が目を覚ますと雨風にさらされていて亡くなったという。

 各地の避難民キャンプや周辺も大雨の被害を受け、パレスチナ通信は12日、少なくとも14人が死亡したと報道。国際移住機関(IOM)は11日、「約79万5千人の避難民が洪水のリスクにさらされている」と発表した。

 現地では最低気温が10度前後まで低下。住民は寒さや雨をしのぐために室内でもダウンジャケットを着たり、テントのシートや毛布を2重にしたりしている。

 2023年10月に始まったガザでの戦闘によって、多くの住民がテントや損壊した建物での生活を余儀なくされており、昨冬も乳児が寒さが原因で死亡する例が相次いだ。

 イスラエルとイスラム組織ハマスは今年10月に停戦で合意。人道支援物資の搬入も合意されたが、検問所の一部閉鎖は続き、搬入は制限されたままだ。

 ハマスは11日、イスラエルが仮設住宅を建設するために必要な資材の搬入を妨害していると主張。「冬が到来し、寒さに耐える避難民の苦しみを意図的に悪化させている」と非難した。

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