
【ウィーン=共同】東欧スロバキアでヒグマによる人への襲撃が相次いでいることを受け、政府はヒグマの頭数を把握するための全国調査を始めた。約1年かけてヒグマの体毛や排せつ物などを収集して分析、実態に近い個体数を推計することで、今後の駆除や共生に向けた対策に役立てる。
日本でも北海道で今年7月以降、ヒグマによる襲撃が続いているが、国土の大半が山岳地帯の内陸国スロバキアでも近年、被害が頻発。社会問題化していた。
地元メディアによると、国立公園職員やハンター、林業従事者ら約1万人が協力する計画で、参加者には動画による研修のほか、使い捨て手袋や排せつ物を保管する試験管、体毛を入れる紙袋といった収集キットが提供される。1年後をめどに結果を公表する予定だ。
スロバキアのヒグマの個体数は過去の調査で、千頭程度と推計されていたが、サンプル数が少なすぎるとの批判があった。今月20日の記者会見で、環境省のクファ次官は今後の個体数調整に向け、ヒグマの頭数を把握する必要があると強調。「十分な数のサンプルを集めたい」と述べた。クファ氏によると、昨年、ハンターが駆除したヒグマは94頭に上った。
スロバキアでは昨年、2人がヒグマの犠牲となり、今年3月には市街地から約1キロ離れた森の中で男性の遺体が見つかった。5月にも会社敷地内で男性が襲われてけがを負う事例が発生。政府はヒグマ350頭の駆除許可を出したほか、駆除したヒグマの肉の一般販売を許可するなど対策を本格化させた。
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