◆パナマ運河経由が日本への最短ルート
海運貿易の要衝で米中摩擦の震源地となっているパナマ運河＝10月、中米パナマで
太平洋と大西洋を結び、年間1万3000隻が行き交う全長約80キロの中米パナマ運河。海運貿易の大動脈の沖合は、燃料や自動車を積む大型船で混雑していた。 米国が巨費を投じて第1次大戦初期の1914年に建設し、1999年にパナマへ返還された。その後、港湾などのインフラに中国企業が相次いで進出。怒り心頭のトランプ米大統領は、米軍再駐留も示唆して脱中国化をパナマに迫っている。 「資源の輸出大国化に向けて、液化天然ガス（LNG）消費が増える東アジアへのアクセス路を手中に収める狙いがある」。米シンクタンクの戦略国際問題研究所（CSIS）のヘンリー・ジーマー氏は、トランプ氏の真意をこう解説する。米国産LNGの輸出基地はメキシコ湾岸に集中し、購入を増やす日本へも運河経由が最短ルートになる。◆「アメリカ第一主義」は脱炭素に向けた世界の潮流も揺さぶり
10月、中部電力グローバル事業本部長の佐藤裕紀専務執行役員（63）は、パナマで開かれた世界エネルギー会議に合わせて運河を視察した。「やはり、ここは世界のチョークポイント（戦略的要衝）」。トランプ氏が「米国に返せ！」とパナマ政府に迫る渦中の水路を見つめ、「目の付け所が良いと言わざるを得ない」と語った。 気候変動は「詐欺」だと言い切り、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」からの離脱も表明したトランプ氏。貿易赤字の解消に絡めて... 残り 611/1415 文字
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