◆大口顧客のJERAは「揺るぎないパートナー」
エネルギー産業が集積する米国南部テキサス州ヒューストン近郊には「シェール革命の父」、故ジョージ・ミッチェル氏の銅像が誇らしげに立つ。2000年代、地下の頁岩(けつがん=シェール)を高圧水で粉砕し、天然ガスや石油を回収する技術を確立した。
公園に建つ「シェール革命の父」、故ジョージ・ミッチェル氏の銅像=9月、米テキサス州ヒューストンで
米国をエネルギーの輸入国から輸出国へと変貌させた彼の功績をフル活用すべく、トランプ大統領は「輸出大国化」を掲げて投資を促している。 政権の号令を受け、メキシコ湾岸の液化天然ガス(LNG)輸出拠点は活況を呈する。LNG加工を手がける「フリーポートLNGデベロップメント」には日本や欧州などに向かうタンカーが昼夜を問わず入港し、設備増強の検討が進む。 輸出拡大に自信を示す担当者は、「需要は必ず付いてくる」と鼻息が荒い。大口顧客で出資者でもある日本最大の発電会社JERA(ジェラ)に「揺るぎないパートナー」と期待を寄せる。 中部電力と東京電力が折半出資するJERAは、現状、約1割の米国産LNG比率を2030年ごろに3割まで引き上げる方針。大型調達契約やガス田の権益取得を相次いで発表し、米政権幹部を「トランプ氏の下で、米国のLNGが復活したことを世界に示すメッセージだ」と喜ばせた。◆アラスカのLNG開発事業への投資を要求
再生可能エネルギーがコスト増や安定性の課題を抱える中、JERAは石油よりも環境負荷が低いLNG火力を当面の「現実解」と捉える。
「フリーポートLNGデベロップメント」のLNG加工設備=9月、米テキサス州ヒューストン近郊で
同社はオーストラリアや東南アジア、ロシア、中東からも調達しているが、ウクライナ侵攻や中東情勢などの...残り 603/1475 文字
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