中国共産党に批判的な論調で知られた香港紙「リンゴ日報」(廃刊)の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏(78)が香港国家安全維持法(国安法)違反などの罪に問われた裁判で、香港の裁判所は15日、黎氏に有罪判決を下した。量刑は後日、言い渡される。
黎氏は香港の民主派を支えてきた代表的人物の一人。中国政府は黎氏を批判的勢力の「首魁(しゅかい)」として強く警戒していた。
起訴状などによると、黎氏は大規模な反政府デモがあった2019年以降、リンゴ日報幹部らと共謀し、記事や外国の政治家らとの面会を通じ、外国政府に香港政府や中国政府への制裁を呼びかけたとして、国安法の「外国勢力と結託して国家安全を害する罪」に問われた。記事を通じてデモを扇動したとも指摘された。黎氏は公判でこれらの罪を否認してきた。
黎氏はこれまでに19年のデモで未許可の集会に参加した罪などで実刑判決を受けている。黎氏はすでに5年近くの長期収監が続いており、80歳にせまる高齢もあって健康が不安視されている。欧米各国の政府や議会は黎氏の早期釈放を求めていた。
黎氏は1947年、中国南部の広東省広州市に生まれた。貧しい生活を強いられ、12歳のときに香港に密航。繊維工場で働いた賃金を元手に、株式投資などで資金を集め、81年に服飾ブランド「ジョルダーノ」を創業した。
黎氏は、89年に中国軍が学生らを武力弾圧した天安門事件に衝撃を受け、90年に雑誌「壱週刊」を創刊。95年にリンゴ日報を創刊した。
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香港の言論・政治の状況は
香港は、1997年にイギリスから中国に返還されました。中国は「一国二制度」のもと、言論や政治活動の自由をある程度認めてきましたが、2019年に起きた反政府デモをきっかけに「香港国家安全維持法(国安法)」が施行され、多数の民主派団体やメディアが解散や閉鎖に追い込まれました。そもそも国安法とはどんな法律なのでしょうか。
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