
【ワシントン=芦塚智子】トランプ米大統領は15日、合成麻薬「フェンタニル」とその原料の前駆体を「大量破壊兵器」に指定する大統領令に署名した。多数の米国民が過剰摂取で死亡しているとして、米国への密輸の取り締まりを強化する。
トランプ氏は署名を前に、フェンタニルは「まさに大量破壊兵器だ」と強調した。毎年、20万〜30万人がフェンタニルのせいで死亡しているとし「どんな爆弾もかなわない」と述べた。
大統領令では違法なフェンタニルは「麻薬より化学兵器に近い」と指摘した。司法長官にフェンタニルの密輸を捜査・訴追し、より厳しい刑罰を追求するよう指示している。国防総省が司法省の取り締まりを支援することも可能にした。
また国務長官と財務長官に、違法なフェンタニルや前駆体の製造や流通、販売に関与したり支援したりしている金融機関などに「適切な措置」を取るよう求めた。
フェンタニルは手軽で安価に入手できる合成麻薬として乱用が広がっており、米国で社会問題になってきた。2026年の中間選挙をにらみ、米有権者の関心が高い治安問題への取り組みを誇示する狙いがある。
トランプ氏はフェンタニルの米国への流入元と主張するカナダやメキシコ、中国に関税を上乗せする措置を取った。一部の麻薬カルテルを「テロ組織」に指定し、麻薬運搬船とみなす船を攻撃している。
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