安保理は15日、次期国連事務総長の選出などについての会合を開いていた=国連提供

【ニューヨーク=吉田圭織】高市早苗首相による台湾有事についての国会答弁をめぐり、中国の傅聡国連大使は15日、国連の安全保障理事会で発言の撤回を求めた。日本の山崎和之国連大使は「国連の将来を協議するための会合では不適切でかつ無関係な発言だ」と反論した。

安保理は次期国連事務総長の選出などに関する会合を開いていた。会合で傅聡氏は高市氏の国会答弁について「中国の内政に対する露骨な干渉だ」と述べ、「国連憲章の目的と原則に基づく国際関係の基本規範に違反する」と主張した。

会合に参加した山崎氏は中国の発言を受け「日本に対する根拠なき発言をしたことは遺憾だ」と強調した。傅聡氏による発言は「加盟国間の分断を招くことを目的としたものに過ぎず、国連の将来に向けた建設的な議論の計画を損なうものだ」とも批判した。

高市氏は11月7日の国会で中国が台湾を攻撃し、台湾を支援した米軍へも武力行使する場合は「存立危機事態になり得る」と答弁した。この答弁に反発した中国は傅聡氏からすでに2回、国連のグテレス事務総長あてに日本側に撤回を求める書簡を送っている。

これらの書簡に対して日本は「事実と矛盾し根拠がなく断じて受け入れられるものではない」として反論する書簡をグテレス氏に送っている。

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