欧州評議会(本部・仏ストラスブール)は16日、ロシアによる侵攻でウクライナが受けた被害の賠償に向け、「国際請求委員会」を創設するための条約を採択した。条約は25カ国の署名後に発効し、委員会はオランダ・ハーグに設置される。

 「人権の守護者」とも呼ばれる国際機関である欧州評議会は2023年、侵攻による損害を記録する登録制度の設立を決め、これまでに住宅やインフラの破壊など8万件以上の被害が登録された。新設される委員会はこれらを引き継ぎ、賠償額を算出する役割を担う。

 会合に出席したウクライナのゼレンスキー大統領は「戦争被害が補償されることを人びとが現実のものとして実感できるよう、国際社会の強い支持を期待する」と演説。欧州連合(EU)の行政府、欧州委員会のフォンデアライエン委員長も「侵略者に責任を問う具体的な正義の手段であり、欧州の揺るぎないウクライナ支援の証しだ」とコメントした。

 欧州評議会は第2次世界大戦後の1949年、民主主義や法の支配、人権の尊重といった欧州共通の価値を守る目的で設立された。EUの全27カ国のほか、英国やウクライナなど計46カ国が加盟し、日本や米国など5カ国がオブザーバーとして参加している。ロシアも96年に加盟したが、2022年2月のウクライナへの全面侵攻侵攻を受け、同年3月に除名された。

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