
【NQNニューヨーク=戸部実華】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落し、終値は前日比302ドル30セント(0.62%)安の4万8114ドル26セントだった。同日発表の米経済指標は強弱が入り交じる内容となり、先行きの雇用や金融政策を巡る不透明感が重荷となった。ダウ平均の下げ幅は470ドルほどに達する場面があった。
16日発表の11月の米雇用統計で非農業部門の就業者数は前月比6万4000人増え、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(4万5000人増)を上回った。同時に発表された10月は政府部門の減少が響き10万5000人減った。9月は下方修正された。11月の失業率は4.6%と市場予想(4.5%)を上回り、2021年9月以来の高さだった。
市場では「利下げが続く環境でも失業率が市場予想以上に上昇したのは労働市場の減速を映す」(ジョーンズ・トレーディングのマイケル・オルーク氏)との声が聞かれた。インフレの高止まりが続けば今後の利下げ余地が限られるとみられるなか、一段と雇用が悪化する可能性も意識された。
一方、同日発表の10月の米小売売上高は前月比で横ばいとなり、市場予想(0.1%増)を下回った。自動車・自動車部品を除くと0.4%増と市場予想(0.2%増)を上回った。
16日発表の指標は強弱が入り交じるなか「米連邦準備理事会(FRB)は政策を決める前に12月のデータを見極めるのに良い態勢にある」(バンク・オブ・アメリカ)との見方もあった。10〜11月のデータは政府閉鎖の影響が集計に響いているとして、今後の指標を見極めるべきだとの雰囲気も広がり、買いが入りにくくなった。
人工知能(AI)投資に対する懸念も市場心理の重荷となった。ダウ平均の構成銘柄ではないが、AI向けインフラのコアウィーブの下げが目立った。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが15日夜にテキサス州のデータセンター施設の建設の遅れなどを報じた。アルファベットやAIを支える半導体株の一角も下げた。
ダウ平均の構成銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループやジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が売られた。米原油先物相場の下落を背景に、シェブロンも安かった。一方、ウォルト・ディズニーやエヌビディア、ボーイングは上昇した。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反発し、終値は前日比54.049ポイント(0.23%)高の2万3111.462だった。テスラやパランティア・テクノロジーズが上昇した。
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