記者会見するウクライナのゼレンスキー大統領(16日、オランダ・ハーグ)=AP

【キーウ、モスクワ=共同】米紙ニューヨーク・タイムズは16日、米欧がウクライナと戦闘終結後の「安全の保証」に関する2文書を取りまとめたと報じた。ロシアの再侵攻を防ぐため、欧米の具体的な役割を明記。欧州有志国の軍部隊がウクライナ国内に展開し、米国は情報活動を通じて停戦の監視や再侵攻の兆候察知に当たるとした。

米国は2文書を最終的な和平合意の基礎としたい考え。ウクライナのゼレンスキー大統領は文書の最終調整を経て数日以内に合意を結ぶ意向を表明している。一方、ロシアはウクライナ領内への欧米の軍駐留に反対しており、ロシアの同意を得るのは困難とみられる。

同紙によると、2文書は北大西洋条約機構(NATO)加盟国の集団防衛を定めた北大西洋条約第5条に類似した「安全の保証」など基本原則を示す文書と、欧米とウクライナ軍の協力を規定する文書。ゼレンスキー氏と欧米高官らが14、15両日、ドイツ・ベルリンで協議して取りまとめた。

ウクライナ軍の規模について、平時の上限を80万人と定め、欧米が訓練や最新装備を提供する。欧州有志国の地上部隊は、停戦ラインから離れたウクライナ西部に展開することが想定される。

ロシアがウクライナによる停戦違反を装って攻撃を再開する「偽旗作戦」への対策も盛り込まれた。文書には法的拘束力を持たせる想定で米国は議会の承認を得る方針。

一方、ロシアのリャプコフ外務次官は米メディアが15日に報じたインタビューで「ウクライナ領内へのNATO加盟国の部隊駐留に決して同意しない」と表明。強硬姿勢を崩していない。

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