米ニューヨークの国連本部

【ニューヨーク=吉田圭織】国連のグテレス事務総長は8日、米国が計66の国際機関や条約から脱退すると表明したことについて声明を出し「米国による複数の国連機関からの脱退を遺憾に思う」と述べた。定例の記者会見で報道官が発表した。

グテレス氏は「通常予算と平和維持活動(PKO)予算への分担金の支払いは米国を含む全ての加盟国に法的義務がある」とも強調した。国連によれば、加盟国で最大の分担金を負うべき米国は2025年分を支払っておらず、国連の財政悪化に拍車がかかりそうだ。

トランプ米大統領は7日、国連女性機関(UNウィメン)や国連人口基金(UNFPA)などを含む31の国連組織からの脱退を米政府に指示した。ホワイトハウスによれば、国連の関連組織からの脱退は「参加または資金提供を停止することを意味する」と説明している。

国連では組織ごとに資金調達の手法が異なる。国連の通常予算から資金が割り当てられる組織もあれば、加盟国などからの任意拠出金が主な資金源となるケースもある。任意拠出金に頼っているUNウィメンや国連人口基金にとっては、米国による今回の脱退は大きな打撃となる。

一方、国連事務総長のドゥジャリク報道官によれば、ホワイトハウスが発表したリストに記されている組織の「多くは国連の通常予算によって運営している」と指摘している。例えば、米国が脱退を発表した国連経済社会局(DESA)は国連の事務局内の部局の1つだ。

シンクタンク国際危機グループのダニエル・フォーティー氏は米国の脱退について「米国の分担金未払いで、国連はすでに財政危機や大幅に縮小された予算に備えていた。現状が実質的に変わるわけではない」と分析している。

トランプ政権はすでに25年に世界保健機関(WHO)や国連教育科学文化機関(ユネスコ)、国連人権理事会から脱退している。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からも再離脱している。

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