景気低迷や社会の競争激化を背景に職場や学校でのプレッシャーが増す中国では、成人の約半数が睡眠に悩みを抱えているとされる。一種の“国民病”といえるほど広がる睡眠の問題を商機と捉えたサービスや商品が続々と登場。「睡眠経済」と呼ばれる市場は2030年までに1兆元(約22兆円)規模に達するとの試算もある。  北京中心部のビジネス街。お香の香りが漂う高層ビルの一室で、李紅穎さんがアイマスクを着けて横になった男性に語りかける。「深くゆっくりと呼吸して。仕事は忘れましょう」。隣で呼吸方法を教え、並べられたボウル型の楽器を静かに鳴らして眠りに誘う。  李さんが店長を務めるリラクセーション店は「安眠」を売りにしており、1時間約300元からと安くないが、予約が連日埋まる。客の多くは「仕事の負担が大きく、熟睡できていない」と李さん。宿泊サービスがないにもかかわらず「短時間でもいいので質の高い睡眠をとりたい」との需要を掘り起こした。企業が福利厚生の一環で契約したり、受験競争に疲れた親子が訪れたりするケースが目立つ。

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