
イランで反政府デモが続き、治安当局との衝突で500人超が死亡したと伝えられた。米政権は軍事介入を警告し、けん制を強めている。イラン当局による弾圧と、緊張の高まりを憂慮する。
デモは経済難に抗議する商人が昨年末に始めた。参加者が膨らみ、体制批判が広がった。司法当局は参加者を死刑に値する「神の敵」と呼び、治安部隊が鎮圧に実弾を発砲したと報じられた。
当局はインターネットを遮断し、情報統制に躍起だ。犠牲の全容は不明だが、国民の平和的な要求を暴力で封殺するのは許されない。日本を含む国際社会はイランに自制を促し続ける必要がある。
トランプ米大統領は12日、「イランと取引する国は米国とのあらゆるビジネスに25%の関税を課す」と表明した。イランのデモ鎮圧を受けた制裁だ。軍事攻撃もちらつかせ、圧力を強めている。
イラン指導部は、デモの背後に米国とイスラエルがいると主張する。米国から攻撃を受ければ、米軍基地などに反撃すると警告した。中東をまたも混乱させる武力の応酬は避けなくてはならない。
米国とイスラエルは昨年6月、イラン核施設に軍事攻撃を加えた。米政権は今月初めにベネズエラを急襲し政権を転覆させている。法的根拠が怪しい武力行使や強国による押しつけがまかり通れば、国際秩序は危うくなる一方だ。
イランは対米交渉の準備があると表明した。デモを平和的手段で収束させるとともに、外交で着地点を探ってほしい。
イランは昨年のイスラエルとの交戦で力をそがれた。政権の弱体化に乗じるように、同国のネタニヤフ首相はデモへの支持を繰り返し、揺さぶりをかける。一方的な工作や挑発が中東の安定を損ねないよう全当事者に求めたい。
今回のデモを招いた経済難は、イランの核開発問題で米国などが制裁を強めたのが根本的な原因だ。イランはまず国際的孤立から脱する必要があり、核開発をめぐる疑念を晴らす努力が不可欠だ。
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