日本や欧州連合(EU)など66の世界貿易機関(WTO)に加盟する国・地域は28日、新たなデジタル貿易協定の発効で合意したと発表した。電子データの国際送信への関税を禁止し、ビジネスの予見性を高め、企業の海外展開を後押しする。

カメルーンの首都ヤウンデで開いた閣僚会合にあわせ、発効に賛同する有志国が先行して実施すると決めた。

日本は共同議長国を務めた。EUのほか、共同議長国であるオーストラリアやシンガポールなどでの発効を見込む。中国も賛同した。今後、各国は国内手続きを進める。電子商取引(EC)のルールを定めた協定として世界最大になるとされる。

WTOの加盟国は2019年からデジタル貿易協定の議論を進めてきた。WTOの枠組みで協議していた協定を有志国だけで実施するのは初めてとなる。

クラウドサービスやサブスクリプション(定額課金)の映像コンテンツなど電子データの国境をまたぐ送信に関税をかけることを恒久的に禁止する。将来も関税がかからないことが担保され、企業がビジネスの計画を立てやすくなる。

協定は貿易につかう書類の電子化や電子決済の促進も盛り込む。サイバーセキュリティーや個人情報の保護など電子商取引の信頼向上も各国に求める。

プログラムの設計図であるソースコードの強制開示の禁止など各国で賛否が割れる規定の導入は見送られた。電子データの国内管理を義務づける「データローカリゼーション」の要求の禁止も含まれない。今後も協議を継続する。

WTOによると24年時点でデジタル貿易が世界貿易全体のおよそ15%を占めた。デジタル貿易に関するルールの整備が急務となっている。

各国は電子商取引協定をWTOの協定として組み込もうと議論を続けていたが、インドなどは反対していた。

協定に組み込むには閣僚会合で全加盟国の賛成が必要となる。日本政府などはインドを説得し賛成に回ってもらうことは困難と判断し、有志国での暫定実施を選んだ。

まず暫定実施し、将来はふたたびWTOで議論して全加盟国に賛同してもらうことを想定する。

協定が実効性を持つかは不透明との見方がある。中国は参加を決めたが、データローカリゼーションは禁止されるべきでないとの立場をとる。米国は今回の協定に参加していない。

WTOの有志国の議論枠組みに米国が参加しない例が目立つ。26年のWTO閣僚会合で議題になる投資円滑化協定も米国は交渉国として参加していない。

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