この取り組みはUNDP=国連開発計画と福岡県の大手しっくいメーカーなどが進めているものです。

ウクライナ中部のキーウ州マカリウでは、8月29日、ロシア軍の攻撃を受けた住宅の解体作業が行われ、取り壊した建物のがれきをトラックで集積場に運んでいました。

幼いころこの住宅で暮らし、解体作業に立ち会ったコンスタンティニディスさん(62)は「被害を受けた家はたくさんあるので、がれきが活用されるのならすばらしいことだ」と話していました。

UNDPなどによりますと、建物のがれきは細かく砕いて粒状にして10月中におよそ1トン分を福岡県にある工場に輸送するということです。

そして、再利用に向けた安全性を確認したうえで、タイルに加工する予定で、将来的にこうした製品をウクライナの復興に活用したい考えです。

また、会社側は、再来年をめどにウクライナにタイル工場を設立することを検討していて、負傷した兵士などに雇用の場を提供することも目指すということです。

大量がれき処理 資金確保が大きな課題

ロシアによる軍事侵攻が続く中、ウクライナの当局はことし6月、建物のがれきなどの廃棄物の量がすでに600万トンを超えているとSNSで明らかにしました。

その大部分は東部のハルキウ州やドニプロペトロウシク州、南部のヘルソン州やザポリージャ州などに集中しているということです。

UNDPによりますと、戦闘の長期化に伴って攻撃を受ける建物が増え、大量のがれきをどのように処理するかやそのための資金をいかに確保するかが大きな課題となっています。

世界銀行などの試算によりますと、ウクライナ国内でロシア軍の攻撃によって被害を受けた住宅は去年12月末の時点で、250万世帯以上にのぼるということです。

また、今後10年間でウクライナの復興にかかる費用は推計で5240億ドル、日本円にして77兆円余りにのぼり、これはウクライナの去年のGDP=国内総生産のおよそ2.8倍に相当するとしています。

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