3月30日、ロンドンの自然豊かなリージェンツパークで、日英桜植樹プロジェクトの関係者が集まった。日本とイギリスの間で変わらない友好を象徴する桜。このプロジェクトは、年内にイギリス国内で桜1万本の植樹達成を目標に活動を続けており、2024年には天皇皇后両陛下による記念植樹も行われた。
「日本の心」でイギリスを元気づけたい
「日英桜植樹プロジェクト」は、2019年に本格始動した。当初は1000本の植樹を目標としていたが、ロンドンにとどまらず、各地の自治体や学校が積極的に受け入れたことで、その規模は着実に広がり、今では約1000カ所に9400本の桜が植えられるまでに至った。
プロジェクトの発端は、2016年6月、イギリスによるEU離脱決定直後にさかのぼる。
当時、イギリスを拠点にヨーロッパ事業を展開してきた日本企業の先行きに不透明感が広がっていた。そうした中、イギリスにある日本人会の会長であった佐野圭作氏は、「日英の変わらぬ友好を象徴する形」として、桜の植樹を提案したという。プロジェクトは、当時日英協会理事長の塚本隆史氏、そして安倍晋三総理の秘書官だった鈴木浩氏らとともに立ち上げられた。
2017年には、メイ英首相と安倍総理が交わした日英共同宣言にも、パートナーシップ強化の一環として盛り込まれ、日英関係を象徴する取り組みとして国家レベルでも位置づけられるようになった。佐野氏は「何が起ころうとも、日本とイギリスの友情は変わらない。日本の心である桜で、イギリスを元気づけたい」と述べ、植樹に込めた思いを語った。
イギリスの日常に根づく桜
日英桜植樹プロジェクトは、安全保障や経済協力といった国家間の関係を超え、日々の暮らしのなかで人と人とのつながりを感じさせる取り組みでもある。
イギリス在住の日本人は「桜は住宅街にも咲いていて、日本にいる時と同じように身近に楽しむことができる」と話し、桜がイギリス社会の日常に溶け込みつつあることを実感させた。
プロジェクトに7年前の立ち上げから携わっている鈴木大使は「イギリスの方々からプロジェクトを一緒に進めたいという、ものすごい情熱を感じている。日英友好のシンボルとして認められてきている」と誇らしげに語った。
1万本目の桜が植えられるその瞬間は、両国の友好の歩みを改めて印象づける節目となりそうだ。
さらに2024年には、天皇皇后両陛下がイギリス訪問の際、天皇陛下が留学時代を過ごした思い出の地、オックスフォード大学マートン・カレッジを立ち寄られ、記念として校内に桜を植樹された。この桜も、日英桜植樹プロジェクトから贈られたものだった。
桜の植樹は、日英両国の友好関係を示す取り組みとして、イギリス各地に着実に根を広げている。
(FNNロンドン支局 中島佑馬)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。