
【ニューヨーク=竹内弘文】世界最大のヘッジファンド、米ブリッジウォーター・アソシエーツが、電子商取引のアリババ集団やPDDホールディングスなど米国に上場する中国株をすべて手放したことが15日までにわかった。米中間の貿易摩擦が進むなかで中国株投資を圧縮した可能性がある。
米証券取引委員会(SEC)に提出した報告書「フォーム13F」に記載した2025年6月末時点の保有銘柄リストで明らかとなった。米大手機関投資家は、四半期ごとに保有する米国上場銘柄を開示する義務がある。中国など米国外で上場する株式は対象の範囲外だ。
3月末時点でブリッジウォーターはアリババやPDDのほか、ネット検索の百度(バイドゥ)など米国上場の16銘柄保有し、時価総額は14億900万ドル(約2000億円)あった。6月末の保有銘柄リストでは中国銘柄はゼロになった。
トランプ米政権は4月に相互関税を発表し、中国との間では報復関税の応酬が続いて関税率は徐々に切り上がり、米国の対中関税は一時145%に及んでいた。その後、両国は5月半ばの協議で関税を互いに115%分引き下げることで合意した。ただ摩擦の火種が残る中で中国株投資はリスクが高いと判断した可能性がある。
カリスマ創業者の退任も関係がありそうだ。1975年にブリッジウォーターを創業し、1代で世界最大のヘッジファンドへと育てたレイ・ダリオ氏は「知中派」の大物投資家として知られ、中国要人とも関係を築いてきた。
ダリオ氏は2022年9月末に経営権を取締役会に移管し、自身は取締役を続けながらもファンドの投資判断や業務執行からは完全に退いた。米ブルームバーグ通信の7月末の報道によると最近ダリオ氏は取締役から退き、保有株もすべて手放したという。同氏の影響力が低下したことが投資戦略に変化をもたらした可能性がある。
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