《アメリカ》

トランプ大統領「驚いた。私たちはとてもうまくやっていた」

アメリカのトランプ大統領は現地時間の7日正午ごろ、日本時間の8日午前1時ごろ記者団からの質問に「それについては何も知らない」と答えました。

そのおよそ6時間後の現地時間の7日午後6時ごろ、日本時間の8日午前7時ごろ改めて記者団から聞かれたのに対し「驚いた。彼のことを知っていたし、好きだった。その彼が辞任しようとしており、少し驚いた。彼はとてもいい人だと感じていた。私たちはとてもうまくやっていた」と述べました。

トランプ大統領と石破総理大臣はことし2月、アメリカの首都ワシントンで会談したほか、ことし6月、カナダで開かれたG7サミットにあわせても会談していました。

米国務省 報道官「日本政府との協力の継続楽しみ」

アメリカ国務省の報道官は石破総理大臣が辞任する意向を表明したことについて、NHKの取材に対し「石破総理大臣が辞任の意向を表明したことを承知している」とした上で「両国の同盟はインド太平洋地域、および世界における平和、安全そして、繁栄の礎であり、かつてないほど強固なものとなっている。日本政府との協力を今後も続けていくことを楽しみにしている」としています。

米メディア さまざまな見方伝える

石破総理大臣が辞任する意向を表明したことについて、アメリカのメディアはその背景についてさまざまな見方を伝えています。

このうち、アメリカの有力紙、ウォール・ストリート・ジャーナルは「石破氏の失脚はインフレや移民、低迷する経済成長などの問題に対して有権者が新しい答えを求めるなかで、主流の政党の支持がポピュリストの新興勢力に流出している世界的なドラマの最新の展開だ」などと伝えています。

このほか、ニューヨーク・タイムズは「政治資金のスキャンダルによって評判が傷つけられてきたことや生産を抑える長年の政策が原因と信じられてきたコメ不足も政権の課題となってきた」などと指摘しているほか、ワシントン・ポストは、「世界で最も安定した民主主義国家の一つでありアメリカの主要な安全保障上の同盟国である日本では異例の、政治の不確実性を悪化させるものだ」などと報じています。

日本時間7日夜までの反応

《アメリカ》

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ワシントン支局 西河篤俊支局長
アメリカ政府はまだ公式な反応を示していません。

日米の外交筋からは一連の関税交渉などを通じてトランプ政権と石破政権の距離は近づいたという声が聞かれていただけに驚きをもって受け止めるとみられます。

一方、今回の発表の前にアメリカ政府の元高官からは「トランプ大統領は同盟国に厳しい姿勢を示すことがあり、日本の総理大臣が誰になってもそうした姿勢は大きく変わらない」との冷静な見方も出ています。

いずれにしてもトランプ政権は中国と対じするためにも、日本の役割を重視していて先行きを注視することになりそうです。

《中国》

石破総理大臣が辞任する意向を固めたことについて、中国ではメディアが相次いで速報で伝え高い関心を示しています。

このうち国営の新華社通信はNHKの報道を引用する形で石破総理大臣の辞任の意向について速報で伝えました。

その上で石破総理大臣が今月2日の自民党の「両院議員総会」の場で参議院選挙の敗北について陳謝し、適切な時期に適切な判断を下す考えを示していたことも伝えています。

このほかにも中国ではほぼ同時に多くのメディアが速報で伝えるなど高い関心を示しています。

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中国総局 田中正良総局長
これまでのところ中国政府の反応はありません。

ただ中国メディアは相次いで速報で伝え関心の高さがうかがえます。中国は石破総理大臣について就任以来、関係改善のパートナーになると見て前向きなサインも送ってきました。

例えば10の都と県を除く日本産水産物の輸入再開などの動きです。背景には去年11月の日中首脳会談で「戦略的互恵関係」の推進を確認したことがあります。

中国では今、日本との戦争終結80年の大々的な宣伝やイベントなどの影響もあって、日中関係は重苦しい雰囲気に包まれています。

しかし今後はアメリカに加え日本も意識して動き始める可能性もあり、次の総理大臣が誰になるのか注視しています。

《韓国》

韓国メディアはNHKの報道を引用する形で一斉に速報で伝え、日韓関係への影響など、今後の見通しについても大きく報じています。

このうち連合ニュースは次の自民党総裁について、去年の総裁選挙の候補者が有力候補になり得るとして、具体的な議員の名前を挙げて報じています。

有力紙の東亜日報も「石破総理大臣が辞任すれば、直ちに総裁選挙の局面に突入するとみられる」とした上で「韓日関係の発展を推進した石破総理大臣の辞任で、両国の関係が再び『視界不良』の状況になる可能性があるという指摘も出ている」と伝えるなど総裁選挙の行方に高い関心を示しています。

韓国大統領府 関係者「前向きな関係を期待」

石破総理大臣が辞任の意向を表明したことについて韓国大統領府の関係者は7日、「日本国内の政治に関して言及することは適切ではないと判断する」と前置きした上で、「韓日両国は、未来志向的かつ安定的な関係発展の方向性について幅広く共感している」とするコメントを出しました。

そのうえで日韓関係について「今後も前向きな関係を続けられることを期待している」として、関係発展への期待感を示しています。

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ソウル支局 山下涼太記者
韓国メディアは日韓関係への影響など今後の見通しについても大きく報じています。

石破総理大臣について、韓国では歴史認識をめぐり穏健な立場だという見方が広がっていました。

イ・ジェミョン大統領自身、ことし6月の就任からすでに2回、対面で会談するなど首脳間の信頼関係の構築を重視する姿勢を示してきました。

それだけに韓国の対日政策に詳しい外交筋は「辞任は惜しい。次の総理大臣も韓日関係にとっていい人物になってほしい」と話しています。

《海外通信社》

ロイター通信やAP通信など海外の通信社は相次いで速報で伝えました。

このうち、ロイター通信はNHKの報道を引用して石破総理大臣は自民党が分断される事態を避けるため、辞任の意向を固めたと伝えています。

クローズアップ現代「石破首相辞任表明 政治はどう動く」

9/8(月) 午後7:30放送・配信予定
配信期限 :9/15(月) 午後7:57まで

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