トランプ大統領 バンス副大統領が異例の対応
州の当局 犯人の足取り明らかに
【カーク氏とは】保守系の若者のカリスマ的存在
カーク氏は、トランプ大統領やバンス副大統領に近かったとされトランプ政権は、異例とも言える対応を取っています。トランプ大統領は10日、ホワイトハウスをはじめ、すべての連邦政府や軍の施設、在外公館などで半旗を掲げるよう指示しました。さらに11日には、文民として最高位で、アメリカの国益や世界平和、それに文化的活動などに貢献した人たちに贈られる「自由勲章」を贈ると表明しました。
また、バンス副大統領は10日、SNSに長文を投稿し「彼は真の友人だった」とした上で、カーク氏が、トランプ大統領の家族や多くの支援者との橋渡し役を担い公私にわたって支援してくれていたと振り返り、哀悼の意を示しました。複数のアメリカメディアによりますと、バンス副大統領は、ニューヨークで行われた同時多発テロ事件の追悼式典を急きょ欠席して、事件が起きたユタ州に向かいました。副大統領専用機にカーク氏のひつぎや家族をのせて自宅があるアリゾナ州に送り届ける予定だということです。
アメリカのトランプ大統領に近い保守系の政治活動家、チャーリー・カーク氏がアメリカ西部ユタ州の大学で銃撃されて死亡した事件で、州の当局はこれまでの捜査で見えてきた犯人の足取りについて明らかにしました。それによりますと、犯人は現地時間の10日正午ごろ大学のキャンパスに到着したということです。そこから階段を使って建物の屋上に上がり、銃を撃った場所まで移動したとしています。そして、カーク氏を銃撃したあと、建物の反対側まで移動し屋上から飛び降りてキャンパスを離れ、近隣の地域に逃げ込んだということです。犯人は大学生くらいの年齢とみられるということですが、事件が起きた大学と関係があるのかなどは明らかにしていません。
チャーリー・カーク氏は31歳。保守系の政治活動家で、トランプ大統領を熱狂的に支持する「MAGA派」の若者の代表格としても知られています。AP通信などアメリカのメディアによりますと、カーク氏は18歳だった2012年、「ターニング・ポイント・USA」という保守系の団体を創設し、若い世代に保守的な価値観を広げる活動を始めました。各地の大学などを回って人工妊娠中絶への反対や、銃を所持する権利などを訴えて規模を拡大させ、団体のホームページによると、現在は全米3500以上のキャンパスで活動を行っているということです。さらにカーク氏はポッドキャストやSNSで積極的に発信を行い、保守系の若者の間でカリスマ的な存在となりました。去年の大統領選挙ではトランプ氏への支持を呼びかけ、若者票の取り込みに貢献し、勝利を後押ししたとされています。トランプ大統領とカーク氏の関係について、有力紙ワシントン・ポストは「もともと良好だった2人の関係は大統領選挙のあと一層深まった」としたうえで「トランプ氏が大統領に就任する前の政権移行期にはカーク氏は南部フロリダ州にあるトランプ氏の自宅の『マー・アー・ラゴ』にたびたび姿を見せ、時には閣僚の候補者に関する会議にも参加していた」と伝えています。また、ことしの政権発足後もカーク氏はトランプ大統領や側近らと不法移民対策などについて意見を交わしていたとしています。若者やトランプ政権に影響力のある政治活動家が銃撃され死亡した今回の事件をアメリカのメディアは速報や臨時ニュースで大きく伝えています。
アメリカではこのところ政治家を狙った銃撃事件もたびたび起きています。このうち、トランプ大統領は去年7月、東部ペンシルベニア州で行われた選挙集会で演説中に銃撃を受け、右の耳にけがをしました。また、去年9月には、トランプ大統領が南部フロリダ州でゴルフをしている最中に近くで銃を所持していた男が見つかり、警護にあたっていたシークレットサービスが発砲する事件もありました。さらに、ことし6月には、中西部のミネソタ州で民主党の州議会議員2人とその配偶者のあわせて4人がそれぞれの自宅で銃撃される事件があり、このうち2人が死亡しました。
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