
国の特別天然記念物、コウノトリが、佐賀県白石町で3年連続の繁殖に成功した。一昨年は2羽、昨年は1羽が巣立ち、今年も同じ親鳥のペア(徳島県生まれ8歳のオス「愛称・なる」と、兵庫県生まれの9歳のメス「同・つむぎ」)が、3月に町内の電柱に作った巣で4個の卵を産み、子育てを始めた。
4月中旬には3羽のヒナがふ化。一時は順調に見えたが、春先の低温の影響などで餌が少なく、5月に入るとヒナは育たず全滅してしまった。

それでも親鳥はあきらめず、5月20日過ぎに再び4個の卵を産み、子育てに再挑戦。例年より早い梅雨明けによる猛暑に加え、8月上旬の大雨と、過酷な環境の中を生き抜いた2羽が同28日までに巣立った。
今年も近くに設置したプレハブ小屋で、夜明けから日没まで3交代制でカラスを追い払うなど見守り活動を続けてきた日本野鳥の会佐賀県支部の宮原明幸支部長は「約半年間の保護活動は長かったが、ほっとしている。3年連続で成功したことで九州唯一の繁殖地として定着しました」と感無量の様子で話した。
コウノトリの野生復帰に取り組む兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園(同県豊岡市)によると、国内繁殖の野生種は1971年に絶滅したが、同施設が2005年9月に飼育した個体の放鳥を開始。今年は初放鳥から20年の節目となり、全国の野外生息数が6月末に500羽を超えたという。【野田武】
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