
秋の蚊が“必死”になる理由とは――。
暑い夏がやっと過ぎたというのに、夜風に吹かれるにはまだ早い。交流サイト(SNS)には「蚊取り線香の出番」「秋の蚊は強烈」などと蚊の被害を訴える投稿が続いている。実はこれからが要注意シーズンだという。専門家に対策を聞いた。
猛暑日は木陰で休憩
「近年では秋が最も蚊が多い季節なんです」。キンチョウブランドでおなじみ、殺虫剤大手の大日本除虫菊(KINCHO)広報室の加原朋子さんは説明する。社内の研究所で害虫研究を長年手掛けてきた専門家でもある。
蚊は春から個体数が増え始め、活発に活動するのは気温が27度前後になったころ。30度を大幅に超える日中は木陰や草むらに隠れて休んでいるらしい。
ただし人目につかずとも世代交代を繰り返しており、個体数が増えきった秋、気温が下がってくると再び活発に飛び回る。近年は残暑が長く、活動期間は長期化の傾向があるという。
血を吸うのは命をつなぐため

加原さんによると、国内で人を刺す蚊の代表格はヒトスジシマカとアカイエカのメス。人を刺し、吸血するのは「産卵」に必要な栄養を得るためという。
成虫の寿命はわずか1カ月ほど。蚊の立場になると、涼しくなり、ようやく日中も動けるようになったので、子孫を残すために“必死”に刺すのだろう。かゆみは唾液の成分に対するアレルギー反応で引き起こされる。
運動、飲酒後、黒い服にご用心
重要な対策は二つあるという。まず「発生させない」こと。植木鉢の受け皿やペットボトルのふた、ブルーシートのへこみでも、水がたまれば産卵して発生源になる。排水や掃除に努めることが肝心だ。

次は「寄せ付けない」ことだ。蚊は触角でにおい、温度、二酸化炭素などを感知する。そのため元々体温が高い人や汗かきの人、運動や飲酒をした後などが刺されやすい。黒っぽい濃い色も蚊を引き付ける。これらに留意すれば、被害を防ぐことにつながる。
蚊の活動が鈍くなるのは気温が15度を下回るころ。地域によっては11月ごろまで注意が必要だ。ただ秋が深まると小売店では虫よけ商品の売り場が縮小されていく。加原さんは「虫よけ商品が必要な人は、早めに補充しておいたほうがいいかもしれません」と話している。【山崎明子】
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