勝ちっ放しは横綱豊昇龍だけになった。豊昇龍は対戦成績で負け越す難敵の平幕熱海富士に完勝。1敗の横綱大の里は王鵬を下した。関脇霧島は新小結安青錦に敗れて1敗目。大関昇進をめざす若隆景は3勝目を挙げ、苦手な序盤戦を終えた。
苦労人が手にした初白星
誇らしげに花道を歩いて、支度部屋に戻る。新入幕の日翔志(ひとし)は「15敗したらどうしよう、と思っていた。ほっとした」。
けがに苦しんだ苦労人が、5日目で待望の幕内初勝利をつかんだ。
三役経験のある錦木に正面から勢いよく体をぶつけ、押し出した。
先場所で左ひざを痛め、状態は完璧ではない。だからこそ「万全なら負けない」と連敗中も気持ちを保っていた。「とりあえず1勝できて良かった。今日のように気持ちを前に出して頑張りたい」
東京都立川市出身の28歳。埼玉栄高、日大を経て、社会人として学生を指導しながら相撲を続けようと日大の職員になった。
当時はコロナ下で、アマチュアの試合は軒並み中止に。思うように相撲が取れない日々の中、角界への思いが募った。父・文男さんからは「安定した職を捨ててまで勝負する必要があるのか」と反対されたが、2021年夏場所で初土俵を踏んだ。
同年秋、稽古中に首の頸髄(けいずい)を損傷。腰から下がしびれて動かなくなる重傷だった。2カ月の寝たきりを強いられ、3場所を全休。休場中には角界入りに反対した文男さんが病気で他界。母親を支えようと角界をやめて働くことも考えたという。が、師匠や兄弟子に励まされ、踏みとどまった。
高校の同級生である大関琴桜との対戦が目標だ。「けがしないことが一番。けがなく15日間取り切りたい」
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