8月5日に開幕した全国高校野球選手権大会も佳境。17日(日)には3回戦4試合が行われ、近畿勢の東洋大姫路(兵庫)が第3試合に登場し、西日本短大付(福岡)と対戦しました。

 1回戦では、主砲の高畑知季選手の決勝打とエース木下鷹大投手の力投で済美(愛媛)、2回戦では、去年秋の快進撃を支えた阪下漣投手が復活登板を果たして花巻東(岩手)を振り切った東洋大姫路(兵庫)。ベスト8進出をかけた西日本短大付(福岡)との一戦は、予想どおりの緊迫した展開となります。

 連戦を考慮して東洋大姫路の先発は、岡田龍生監督が「リズムのいい投球とストライクを取れるのが長所」と送り込んだ背番号11番の森皐葵投手。1回、2回とランナーを背負いながらも得点を許しません。しかし3回、2アウト1塁3塁ピンチを招くと、西日本短大付の4番佐藤仁選手にセンター前に運ばれてしまいます。1回のピンチでは三振に仕留めていたスライダーでしたが、ここは佐藤選手が上手く対応しました。

 なおも続くピンチ、ここで岡田監督が早くも動きます。15日に136球を投じてたエースの木下投手を投入します。しかし、キャッチャーの桑原大礼選手が「予想より、少し早かったので、まだ(投球が)安定していなかった」と振り返った場面、続く安田悠月選手にタイムリーを許して2点目を奪われてしまいます。それでも、2点でしのいでピンチを脱出します。

すると直後の4回表、打線が奮起します。3回まで完全に抑えられていた西日本短大付の先発・原綾汰投手から、2アウト1塁3塁のチャンスをつくると、6番・見村昊成選手が、セカンドの横へしぶとくタイムリーヒットを放ち、すぐさま2対1と1点差に詰め寄りました。

 中軸を打つ高畑知季選手が「3回にもし3点目をとられていたら、すこし焦ったかもしれないが、2点に抑えてくれたので落ち着いて反撃できた」と話した東洋大姫路。さらに5回、原投手を攻め立てます。2本のヒットで1塁3塁のチャンスをつくると、2アウトからその高畑選手が、「速球狙いだったが、からだがよく残ってくれた」とレフトへのタイムリーヒット。2対2の同点に追いつきました。

 ここで、西日本短大付もエースの中野琉碧投手を投入。東洋大姫路の4番・白鳥翔哉真選手との勝負に出ます。大事な場面でのエースと4番の対決でしたが、ここは白鳥選手が勝りました。低めの変化球をしぶとく拾ってセンター前へタイムリーヒット、東洋大姫路が3対2とついに勝ち越します。

 1点のリードをもらった木下投手、その後は、まさにエースのピッチングをみせます。中野投手の奮闘と西日本短大付の好守のまえに追加点が奪えない中、粘り強い投球で西日本短大付に得点を許しません。岡田監督が「厳しい展開だったが、キャッチャーの桑原が投手のいいところを引きだして本当にいいリードをしてくれた。木下の良さである粘り強さがでた」と振り返ったように、ピンチの場面でも落ち着いて対応、桑原捕手のリードを信じて抜群の制球力で西日本短大付に反撃を許しませんでした。

 最後も、ランナーを背負った場面でインコ-スに強い球を投げ切ってゲームセット。「難しい試合になったが、ひとりひとりが意識を変えて粘り勝つことができた。成長につながる試合だった」と渡辺拓雲主将がふりかえったように粘り強い戦いぶりで息詰まる攻防を制した東洋大姫路、西日本短大付を振り切り14年ぶりのベスト8進出です。

 近畿勢では、前日の16日(土)に、京都国際が8回・3番小川礼斗選手のタイムリーで尽誠学園(香川)に3対2と鮮やかな逆転勝ち。先発・酒谷佳紀投手を引き継いだエース・西村一毅投手の圧巻の投球でベスト8進出を果たしました。

 小牧憲継監督が「選手ひとりひとりが、ようやくチーム全員で戦うということが分かってきた」と話した京都国際。試合を重ねるごとに成長をみせて、大会連覇むけてまた一歩前進です。

 8月19日(火)の準々決勝の組み合わせは以下のとおり、京都国際は大会注目の二刀琉右腕菰田陽生選手擁する山梨学院(山梨)と、東洋大姫路は仙台育英(宮城)とのタイブレークにもつれ込む大熱戦を制した沖縄尚学(沖縄)と対戦します。

■準々決勝(8月19日)

京都国際(京都) 対 山梨学院(山梨)
関東第一(東東京)対 日大三(西東京)
県岐阜商(岐阜) 対 横浜(神奈川)
沖縄尚学(沖縄) 対 東洋大姫路(兵庫)

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