関西に秋のラグビーシーズン到来を告げる「2025ムロオ関西大学ラグビーAリーグ」が9月14日(日)に開幕。

 連覇を狙う天理大学や王座奪回に燃える京都産業大学、立命館大学とのライバル対決を制した関西学院大学、名門復活へ確かな足取りを見せている同志社大学の4校が、開幕戦で勝利をつかみました。

「チャレンジャーのマインド」活動自粛の天理が勝利で再スタート

 6月に部員2人が大麻所持による麻薬取締法違反で逮捕されるという不祥事により、7月末まで活動停止となっていた天理大学。自粛期間を経て秋シーズンへの参加が認められましたが、開幕戦直前に復帰した小松節夫監督が試合後まず口にしたのは、謝罪と感謝の言葉でした。

 (天理大学 小松節夫監督)「不祥事を起こして、ラグビー関係者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしたことを、改めて深くお詫びさせていただきたい。その中で、リーグ戦への出場機会をいただき、今日このような試合をできたことを大変感謝している。開幕戦をどう戦うのか、春は関西大学さんに敗れたあと棄権させていただいたので、春季トーナメントでは最下位となった。(リーグ戦は)文字どおり最下位からスタートなので、どこが相手でもチャレンジャーのマインド。ディフェンスからプレッシャーをかけていこうという気持ちで臨んだ」

 連覇を狙う天理大学。この日は、春の関西大学ラグビートーナメントで苦杯をなめた関西大学と対戦しました。天理らしく、しっかりと身体を当てていく、前に出続けるディフェンスで試合の流れを引き寄せていきます。

 序盤こそ関西大学に攻め込まれますが、開始6分、自陣のトライエリアを背にした場面から激しいディフェンスでボールを奪うと、キャプテンのSO上ノ坊駿介選手が巧みなランニングで関大のディフェンスラインを突破。WTB平松麟太郎選手が快足を飛ばして一気にトライラインに迫ります。最後はフォローしたCTB山田晟大選手がトライ。幸先よく、5点をリードしました。

 さらに21分、天理のもう1つの強みであるモールを押し込んだ後の攻撃からWTBフコフカ・ルカス選手が追加点となるトライを奪うと、27分にはそのルカス選手がビッグプレーを見せます。インターセプトから抜け出した関大FB堂免遥生選手のあわや独走トライかという場面をすさまじいスピードで戻って倒すビッグタックル。気迫あふれるプレーでピンチを脱出しました。

 そして33分、再び1人1人がしっかり前に出るタックルを決めて相手ボールを奪うと、自陣から鮮やかなカウンター仕掛けます。SH朝倉達弥選手とSO上ノ坊選手の見事な連携でこの日3本目のトライ。ゴールも決めて、前半で17対0とリード奪いました。

 後半に入っても、天理の勢いは止まりません。ディフェンスで前に出続けながら、前半はミスの目立ったキックオフからの対応を修正し、確実に敵陣で試合を進めてきます。開始直後に追加点となるトライを奪うと、その後も集中力を切らさず着実に得点を加えていきます。後半だけで7トライ。関西大学に得点を許さず、62対0。見事に春の雪辱を果たし、チームの再スタートとなる開幕戦を締めくくりました。

 (天理大学 小松節夫監督)
 「活動停止期間も含めて、チームづくりという点では、少し遅れている。今年は、優勝(連覇)や日本一といった大きな目標の前に、まずは1戦1戦、試合を重ねるごとに力をつけていきたい」
 「スタンドで見守る部員も含めて、大きな声は出さずに、それぞれで応援させていただいた。とにかく謙虚に1つ1つの試合を大事に戦っていきたい」

「ひたむきに泥臭く」“チームの結束”深めた京都産業大が快勝

 ここ数シーズン、天理大とともに関西の大学ラグビーをリードしてきた京都産業大学。春に取り組んできた“リーダー10人”の体制を経て、この秋、伊藤森心選手が主将に就任し、よりチーム内の結束が深まったといいます。

 (京都産業大学 伊藤森心主将)「我々はチャレンジャー。昨シーズンも、春も負けて優勝を逃している。とにかくひたむきに、泥臭く京産らしいラグビーをしようとみんなで話をしてきた」

 この日は京都産業大学らしい、力強く安定したセットプレーを軸に優位に試合を進めると、持ち味の縦への強さを見せて着実に得点を積み重ね、試合開始から摂南大学を圧倒しました。

 廣瀬佳司監督が「ディフェンスもアタックも、準備してきたことをしっかりと出してくれた。非常に満足している」と話したように、敵陣深くに攻め込んだ後、確実に得点に結びつける攻撃力に加え、春には課題となっていたディフェンス面でも成長を見せて、60対0と摂南大を寄せつけませんでした。

 それでも「スクラムもモールも、これからもっともっと強くなれる。戦いながら成長していきたい」と話した廣瀬監督。強さの中にも成長への手ごたえを感じさせる戦いぶりを見せた京都産業大学が開幕戦快勝です。

「接点やセットプレーにこだわった」関西学院大が雪辱果たし好スタート

 春に行われた関西大学ラグビートーナメント準々決勝で立命館に敗れた関西学院大学は、宿敵相手に見事雪辱を果たしました。

 10対10で迎えた後半に一気に5トライを奪い、3トライ以上の差をつけて勝利したチームに与えられるボーナスポイントもゲットしました。

 (関西学院大学 小樋山樹監督)「春は、(そこでやられたので)接点やセットプレーにこだわって、徹底的に強化してきた。一昨年までは接点での強さ、ディフェンスを中心にキックでエリアをとっていく手堅い負けないチーム。昨年は、上位の壁を破るためにオフェンスで点が取れるチームに注力して戦ってきたが、今年は両方を目指していきたい。強固なディフェンスと安定したセットプレーを展開しながら、得点力のあるBK陣をいかしていきたい」

 自信の言葉を残した関西学院大学が、目標としている全国大会ベスト4につながる大学選手権出場権獲得(3位以上)に向けて、まずは好スタートを切りました。

「フィジカルをあげることを心掛けてきた」名門・同志社がライバル突き放す

 天理大学・関西大学の試合と並行して第2グラウンドで行われた同志社大学と近畿大学の対戦は、名門・同志社が終盤に力を発揮して、見事に4年ぶりの開幕戦勝利を飾りました。

 大島泰真主将が「今年は練習から厳しいトレーニングができている。それがチームの自信になっている」と語ったように、12対12の同点で迎えた後半の29分過ぎから立て続けにトライを奪って29対12。ここ数年、敗れていたライバルを突き放しました。

 今シーズン就任した永山宜泉監督が、「今までは、選手が頭で考えるラグビーを優先して、きれいにラグビーをしようとしていた。ラグビーはもちろん頭を使う競技だが、その前に、身体と身体をぶつけ合って、どっちが前に出るかを戦うスポーツ。作戦云々のまえに、まずはフィジカルやフィットネスをあげることを心掛けてきた」と口にしたように、厳しい強化が実り、疲れの見え始めた後半ラスト10分に、見事に力を結集して近畿大学を振り切りました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。