東京2025世界陸上が21日、閉幕した。世界中から集結したトップアスリートたちが繰り広げた極限の戦いは、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。4年前の東京オリンピック™はコロナ禍で、国立競技場に観客の姿はなかった。しかし、今大会は満員の会場で連日熱い戦いが行われた。詰めかけた観客を熱狂させたのは、日本人選手だけでなく、海外からやってきたトップアスリートたちの圧巻のパフォーマンスだった。

棒高跳び A.デュプランティス 世界新記録樹立

大会3日目の15日、男子棒高跳決勝で世界記録保持者のA.デュプランティス(25、スウェーデン)が、自身の記録を塗り替え、前人未到の6m30をマークした。世界記録更新は14度目となり、世界陸上3連覇との“W快挙”を達成した。

デュプランティスは、決勝で6m15まで一度も失敗することなく早々と金メダルが確定。その後、6m20をパスしバーの高さを一気に世界新の6m30に上げた。1回目、2回目は惜しくもクリアできなかったが、ラストチャンスの3回目で成功。その瞬間、国立競技場は割れんばかりの大歓声に包まれた。

婚約者と抱擁するデュプランティス選手

デュプランティスは優勝を争った仲間たちと抱き合い、最後はスタンドで観戦していた婚約者のデジレ・イングランダーさんのもとに駆けつけ、熱いキスを交わした。入場者数は3日連続で5万人を超え、午後11時近くになっても国立競技場を埋め尽くした観客が、デュプランティスの世界新記録を目撃し、会場の盛り上がりは最高潮に達した。デュプランティスは「すべて東京、日本での生活っていうのが最高に合ったんだ。食べ物、環境もすべてが自分のプラスになった。だから世界記録を出せたんだ」と東京開催に感謝した。

翌日にはTBSの「Nスタ」に生出演。「昨日は夜遅くまで“BIG PARTY”をやったよ。カラオケをやり過ぎて今、声が枯れてしまっている」と、笑顔で話した。何の歌を歌ったんですか、との質問には「ABBAだよ」と、スウェーデン出身の4人組歌手の名前を挙げた。

さらに世界新記録を樹立したことについて「2021年の東京五輪の時にはお客さんがいなくて、とても寂しい思いをした。今回は東京でも観客がたくさんいて、(大会直前に)合宿した福岡でも本当に多くのサポートを受けて、最高の時間を堪能した。その結果として金メダルを取ることができて、さらには世界新記録も樹立できた。ホントに最高の気分だよ」と、日本で過ごした時間に思いを馳せた。

“世界最速のアニメオタク” N.ライルズ 男子200m4連覇&4×100mリレーで2冠

大会7日目の男子200m決勝(19日)。アメリカのN.ライルズ(28)が19秒52の1着でフィニッシュし、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)以来、史上2人目の4連覇を達成した。

ライルズ選手

レース前の選手紹介でライルズは、人気アニメ『ドラゴンボール』の“元気玉”のパフォーマンスで会場中のエネルギーを集め、今大会一番の雄叫びで気合を入れた。スタートこそ出遅れたものの、コーナーでスピードを上げ、最後の直線でトップスピードに乗り逆転、見事1着でフィニッシュ。右手で4本の指を立て「4連覇」のポーズを見せ、勝利を喜んだ。

日本のアニメをこよなく愛する“世界最速オタク”として知られているライルズ。今大会では『呪術廻戦』の人気キャラクター五条悟の“領域展開・無量空処”に『ONE PIECE』など、日本のアニメキャラのポーズを次々と披露し、会場を沸かせた。

ライルズは「本当にこの5万6000人の元気玉でたくさんのエネルギーが集まって、最高の走りができた。次の目標は4×100mリレーの金メダルだ」と、超満員の会場の声援に感謝。大会最終日の21日にも男子4×100mリレーで金メダルを獲得、有言実行で今大会2冠を達成した。9日間の総入場者数は619,288人。東京世界陸上は多くの人々を魅了し、幕を閉じた。

*トップ写真は左からデュプランティス選手、ライルズ選手

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