21日に閉幕した「世界陸上」。 記憶に残る感動の名シーンと共に、世界記録の裏側や、魅力についてお伝えします。

■風を送ったり、観客を煽ったり…世界王者とライバルたちとの関係性

高柳光希キャスター:
まずは、今大会の主役とも言える棒高跳のA・デュプランティス選手(25)。唯一の世界記録更新となりました。私も大学まで陸上競技、しかも棒高跳びをしていました。今回は実況をさせてもらいましたが、こんな瞬間はありません。本当に嬉しかったです。

世界記録が出た裏側、ライバルたちとの関係性について見ていきます。

6m15で金メダルを決めた、デュプランティス選手。ここから先は自由に高さを設定できるのですが、自身の持つ世界記録を更新する6m30の設定に会場はどよめきました。

まず1回目の跳躍では、惜しくも落ちてしまいました。すると、同い年で仲の良いライバルで、銀メダルを獲得したギリシャ代表のカラリス選手が、ハンディーファンで風を送ります。とても仲の良い2人です。

続いて2回目の挑戦。先ほどよりもさらに精度を上げた跳躍で、一瞬バーが落ちないかと思ったのですが、失敗してしまいます。しかし、この後が感動的なシーンで、2位、3位、4位のライバルの選手たちが観客に「もっと盛り上がろうぜ」とサインを送っていました。

そして、最後の挑戦で世界新記録を更新。本当に鳥肌が立ちました。

出水麻衣キャスター:
私も実際に見ましたし、高柳さんが実況しているところも記者席から見ていたのですが、立ち上がって、眉間に皺寄せながら盛り上がっている様子にびっくりしました。

高柳キャスター:
距離があるので基本的にモニターを見て実況するのですが、それではもったいないと思ったので、150mくらい先を飛んでいるデュプランティス選手を生で直視して、バーが落ちているかを判断していました。

■“地響きのASMR”? デュプランティス選手が「一番」と評価した歓声とは

高柳キャスター:
そして、もう1つは観客です。総観客数は62万人でチケットもほぼ完売だったということで、毎日夜は5万人以上のお客さんが見に来ていました。

私もたくさんの陸上競技場を見てきましたし、国内の試合に出場も取材もしてきましたが、正直こんなに埋まるとは思っていませんでした。ここまでお客さんが入ると何が起きるのかというと、地響きのような声援が送られるんです。

日本チームも出場した男子4×100mリレーでは、スタート直後の静寂から一気に歓声が響き渡ります。3位までが決勝進出のラインという中、日本が3位になると、どんどん歓声が上がっていき、フィニッシュラインを超えるとより一層歓声が大きくなりました。

そして、男子棒高跳のデュプランティス選手。世界記録を更新した瞬間は、地響き、地鳴りのような歓声でした。

デュプランティス選手は過去にも世界陸上やオリンピック、ダイヤモンドリーグという世界最高峰の陸上のリーグ戦など様々な試合に出ている中で、「東京の世界陸上の場所と歓声が一番だった」と言っていました。

松井ケムリさん:
地響きのASMRを初めて聴きました。すごいですね、この盛り上がり方。

井上キャスター:
他のスポーツ以上に走る、投げる、飛ぶなどとシンプルなので、にわかになりやすいというか。誰でも体感できる延長線上のすごさがわかりやすいと思いました。

松井ケムリさん:
世界記録は「これが世界一なんだ」というものが、目の前で見られるところがいいですよね。

高柳キャスター:
来年はアジア版オリンピックと言われるアジア大会も日本で開催される予定ですし、2年後には北京の世界陸上もあります。ぜひ、そこでも同じような盛り上がりを見たいですし、私はそのときもまた、デュプランティス選手の実況を担当したいと思っています。

ライバルたちの活躍が今後の更なる世界記録の更新にかかってくると思うので、6m40も目指して欲しいですね。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。