室伏長官は陸上男子ハンマー投げのオリンピック金メダリストで、初代の鈴木大地氏の後任として2020年から2代目のスポーツ庁長官を務めてきました。

任期中には、中学校の部活動を地域のスポーツクラブなどが担う「地域展開」をはじめとした部活動改革に力を入れてきました。

室伏長官は30日、およそ140人の職員を前に最後のあいさつをしました。

この中で「皆さんと一緒にスポーツの可能性を追求し、いろいろな種をまいたと思う。すぐに芽が出るものもあれば年数がかかるものもあると思うが、育って実になるところまでしっかり見届けることが大事だ」などと思いを語りました。

そのうえで「スポーツは人と人をつなぎ人生を豊かにするものだ。スポーツで培った絆を前進する力に変えて、力強く頑張ってほしい」とともに働いてきた職員に対してメッセージを送りました。

このあと職員から花束が贈られ、庁舎をあとにしました。

後任はパラリンピック、競泳の金メダリストでJPC=日本パラリンピック委員会の委員長を務めてきた河合純一氏で、10月1日就任します。

室伏長官 5年間の取り組み

室伏長官は任期中の5年間で、スポーツ科学の専門家としての知見を生かした健康作りの取り組みや、中学校の部活動改革を先頭に立って推進しました。

室伏長官は2004年のアテネオリンピックの陸上男子ハンマー投げで金メダルを獲得し、2020年に東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の競技部門の責任者であるスポーツディレクターから、スポーツ庁長官に就任しました。

就任後は「感動してもらえるスポーツ界」をスローガンに掲げ、スポーツ振興や強化などのかじ取りを担ってきました。

特にスポーツの効果を社会全体に還元しようと健康作りの取り組みに力を入れました。

スポーツ科学を専門とする大学教授を務めていた知見や経験を生かしながら、新聞紙や紙風船といった身近な物を取り入れたトレーニングや、みずから開発した身体機能のセルフチェックプログラムを活用することで、運動に親しみやすい環境整備を進めてきました。

また在任中に推進し、注目された事業の1つが、中学校の部活動改革でした。

少子化や教員の働き方が課題となる中、中学校の部活動を地域のスポーツクラブなどが担うことを目指す取り組みで、4年前に方向性を議論する有識者会議が立ち上がって以降、「スポーツを学校から解放し地域全体で支える」と主張し、先頭に立って政策の実現に向けて奔走しました。

このほか、子どもたちが複数のスポーツに取り組む「マルチスポーツ」の普及や、厳しいトレーニングが必要なアスリートと宇宙飛行士の知見やノウハウを共有するJAXA=宇宙航空研究開発機構との連携など、独自の発想で政策を打ち出してスポーツの可能性を広げてきました。

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