来年の春に行われる第98回センバツ高校野球大会。その代表校を選考するうえで重要な参考材料となるのが秋の近畿大会です。先週末から今週にかけて、その近畿大会への出場権をかけた地方大会の重要な試合が各地で行われて、出場する16校のうち14校が決まりました。

<兵庫県大会>

 3校に出場権が与えられる兵庫では、9月28日(日)に行われた準決勝で、公立高校の市尼崎が、去年の秋から県内での公式戦連勝記録を更新していた東洋大姫路を見事に撃破。延長タイブレークの末、彩星工科に逆転勝ちをおさめた神戸国際大付属とともに、いち早く近畿大会への出場権を獲得しました。

 天候不良の為、10月4日(土)から10月5日(日)に順延された決勝戦で両校が激突。神戸国際大付属が、エース・秋田依吹投手の力投で勢いにのる市尼崎打線を3安打に抑えて4対0と快勝。5年ぶり8回目の優勝を飾りました。

 決勝戦に先立って行われた3位決定戦では、2対0とリードした東洋大姫路が、6回のピンチを1失点でしのいだ後、終盤に一気に彩星工科を突き放して13対1と大勝。優勝した去年の秋、今年の春に続いて、3大会連続で近畿大会への出場権を獲得しています。

<滋賀県大会>

 同じく3校に出場権が与えられる滋賀では、滋賀を代表する強豪対決となった滋賀学園と近江による準決勝が、最後の最後までどちらに勝利の女神が微笑むのかわからない、まさに“激闘”となりました。

 雨天の影響で、10月5日(日)から10月6日(月)に延期されてナイターで開催されたこの試合で先にペースを握ったのは近江でした。1対1の同点から、5回と9回に滋賀学園の先発・伴田蒼生投手を捉えて5対1と大きくリードを奪います。

 しかし、9回1アウトを取ったところで、ここまで好投していた近江のエース・上田健介投手にアクシデント。体の異常を訴えて、急遽、塚脇颯太投手への交代を余儀なくされます。

 ここから、滋賀学園が驚異の反撃をみせます。なんと9回ツーアウトから、粘りに粘って4連打、土壇場で5対5の同点に追いつきました。

 それでも、近江はタイブレークに突入した10回表の1アウト2塁、3塁から1番・吉田大翼選手が2人を返すタイムリースリーベースヒットを放ち、さらに2番・馬場雄聖選手のタイムリーでこの回3点を奪い、勝負は決したかに思われました。

 しかし、滋賀学園もあきらめません。その裏、1点を奪ってなおも2アウト満塁。打席には主砲の4番・吉森爽心選手と、一打同点、長打が出れば逆転サヨナラの場面をつくります。ここで近江は、塚脇投手に代えて杉浦憂志朗選手がサードからマウンドへ、1年生右腕に運命を託します。杉浦投手は、2ボール、ノーストライクとボールが先行する中でも、落ち着いてカウントを整えると、最後は、渾身の投球で吉森選手を見逃し三振。3時間近くに達した大熱戦に終止符を打ちました。

 キャプテンの杉本将吾捕手が、「最後は全員の力で勝ち切ることができた。杉浦はボールが先行していたが、いい回転のボールが来ていたので絶対に抑えることができると信じていた」と語った近江。5日に行われた準決勝第1試合で、近江兄弟社に3対2で勝利した彦根東とともに近畿大会への出場権を獲得。

 敗れた滋賀学園は、10月11日(土)、近畿大会出場をかけて近江兄弟社との3位決定戦に臨みます。

<奈良県大会>

 同じく、3校に出場権がある奈良では、10月4日(土)に開催された準決勝で智弁学園と天理が、それぞれ郡山と橿原学院に9対0と7対5で勝利。奈良を代表する両校が近畿大会への出場権を獲得しました。

 近畿大会への残り1枚の切符を争った3位決定戦では、3対3の同点で迎えた6回に3点を奪った橿原学院が6対4で郡山をふりきり、出場権を獲得しています。

 3位決定戦の後に行われた天理と智弁学園のライバル対決となった決勝戦。2対2の同点で迎えた6回終了時点で、雨天の為、継続試合となり7日に順延。5日にもホームランを放った智弁学園の杉本真滉投手が、自らのバットで7日にも、決勝打となる2ランホームランを放ち4対3で智弁学園が勝利しました。夏の選手権予選の雪辱を果たして奈良県大会を制しています。

<大阪・京都府大会、和歌山県大会>

 2校しか近畿大会への出場権を獲得できない京都、和歌山では準決勝が、近畿大会への出場権をかけた大一番。両県では地区大会を戦う中で力をつけてきた両校が一気に頂点まで駆け抜けました。

 京都では、府大会初戦となった2回戦で、強豪・京都国際との息詰まる熱戦を制した龍谷大平安が勢いそのままに、3回戦、4回戦、準々決勝と完勝し、近畿大会への出場権がかかった準決勝でも古豪・鳥羽を寄せ付けず9対2で勝利して決勝に駒を進めました。

 決勝戦では、準決勝で京都文教を相手に7対0と快勝するなど、すべての試合を圧勝で勝ち上がってきた乙訓と対戦。両チーム無得点のまま、延長タイブレークに突入した10回に乙訓が1点を先制しますが、その裏に龍谷大平安が見事に逆転。サヨナラで京都大会優勝を飾っています。

 和歌山では、準々決勝に当たる県大会2次予選の初戦で、和歌山を代表する全国屈指の強豪校・智弁和歌山に9対4と快勝した近大新宮が、準決勝でも名門・簑島を11対4と圧倒して近畿大会出場を決めると、決勝戦でも、智弁和歌山とともに近年の和歌山の高校野球をリードしてきた市和歌山から8回、9回に得点を奪って3対2と逆転勝ち。見事に和歌山県1位での近畿大会出場を決めました。

 3校が近畿大会へ出場する全国有数の激戦区・大阪では、準々決勝で前評判の戦った大阪学院大高を下した近大付属が、5日に行われた準決勝でも、2回に一挙4点を奪う猛攻で試合の主導権を握ると粘る太成学院大高を振り切って決勝進出。続いて行われた準決勝の第2試合では、8連覇を狙う大阪桐蔭が、期待の右腕・吉岡貫介投手の力投で金光大阪を僅か2安打に抑えて2対0と完封勝ち。危なげなく近畿大会への出場権を獲得しました。

 10月12日(日)、近畿大会への最後の切符をかけた太成学院大高対金光大阪の3位決定戦の後、大阪1位の座をかけて両校が激突します。

 10月12日(日)で代表16校がそろう秋季近畿大会は、14日(火)に抽選会が行われた後10月18日(土)から、奈良県のさとやくスタジアムで開催されます。

【近畿大会出場校】

大阪  大阪桐蔭、近大付、<太成学院大高と金光大阪の勝者>
兵庫  神戸国際大付、市尼崎、東洋大姫路
京都  龍谷大平安、乙訓
滋賀  彦根東、近江、<滋賀学園対近江兄弟社の勝者>
奈良  智弁学園、天理、橿原学院
和歌山 近大新宮、市和歌山

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