■第37回 出雲全日本大学選抜駅伝競走(13日、出雲大社正面鳥居前~出雲ドーム前、6区間45.1㎞)
“学生3大駅伝”(出雲、全日本、箱根)の開幕戦、出雲駅伝が13日に行われて、国学院大学が2年連続3度目の優勝。3区で野中恒亨(3年)が留学生選手と対等な勝負を見せると、4区で辻原輝(3年)が区間新の走りでトップに立った。アンカーの上原琉翔(4年)が逃げ切って、両手をあげてフィニッシュした。
区間距離が短く“スピード駅伝”と言われる出雲駅伝、城西大学、中央大学は前半にエース級を配置し、駒沢大学は後半型のオーダー、青山学院大、早稲田大は1区とアンカーに主力を置いた。青学は当日変更で2区の宇田川瞬矢(4年)を折田壮太(2年)、駒大は5区の島子公佑 (3年)を菅谷希弥(2年)、去年優勝した国学院は4区の鼻野木悠翔(2年)を辻原輝(3年)にそれぞれ変更した。
気温25.9℃で湿度は69%と暑さ対策も勝敗を分ける状況となった。スタート地点では各選手が氷を手に取り、首や体につけていた。
1区8.0㎞、最初の1㎞まで先頭集団を引っ張ったのが、駒沢・谷中晴(2年)、青学・小河原陽琉(2年)など2年生コンビ。1.5㎞から東京国際大のキャプテン・菅野裕二郎(4年)がレースを引っ張っていった。
中間の4㎞付近で給水所があり、集団で迎えた選手たちは水をとれない選手もいたが、青学の小河原は創価大・織橋巧(3年)に渡すなどのシーンも見られた。
残り2.5㎞で集団の後ろに控えていた国学院大・青木瑠郁(4年)がスピードをあげて振り落としをかけ、残り1.8㎞でさらにスパートをかけた。しかし、残り1㎞で今年の日本選手権5000mで決勝進出した中央大・岡田開成(2年)が素晴らしいスピードを見せて、中央大が1位でタスキリレー、2位は2秒差で駒沢、3位は6秒差で帝京大、青学は6位。
最短距離となる2区5.8㎞、2位の駒沢は来年、実業団のヤクルトに進む帰山侑大(4年)が最初の1㎞で中央の濵口大和(1年)を逆転、徐々に差を広げていった。この駒沢に迫っていたのが早稲田、10位でタスキをもらった山口智規(4年)が最高の走りを見せ、残り1㎞でトップの駒沢・帰山に追いついた。
残り600mで早稲田の山口智規は横の帰山の表情を確認してラストスパート、区間賞の走りで9人抜きの大逆転でタスキリレー、2位には5秒差で駒沢、3位は21秒差で創価、中央は9人に抜かれて10位、青学は当日変更した折田が5人に抜かれて11位となった。
3区8.5㎞、早稲田は去年の全国高校駅伝1区(10キロ)で日本人最高記録の28分43秒で区間賞を獲得したルーキー鈴木琉胤(1年)、駒沢の桑田駿介(2年)に後ろにつかれるが落ち着いた入りを見せた。
5㎞付近で3位集団、創価のスティーブン ムチーニ(3年)、国学院の野中恒亨(3年)、IVY選抜のG.ブランクス(ハーバード大)、城西大のヴィクター キムタイ(4年)の4人が2位の駒沢の桑田を吸収すると、トップの早稲田の鈴木に迫っていった。残り700mで城西のキムタイがスパートをかけて早稲田の鈴木に追いつくと、鈴木も並走。しかし、城西に差をつけられると、国学院の野中にも抜かれて3位、それでも、ルーキーがしっかりとした走りを見せた。キムタイは3年連続区間賞でタスキリレー、1位は城西大、2位が国学院、3位は早稲田。
4区6.2㎞、早稲田は今年の日本選手権3000m障害で3位に入賞した佐々木哲(1年)、1年生同士のタスキリレーとなった。最初の1㎞で2位・国学院の辻原輝(3年)、1位・城西の小田伊織(3年)を抜き先頭に立った。
2.5㎞付近で当日変更となった国学院の辻原がスピードをあげて前に出ると、徐々に差をつけていった。最後までスピードが落ちずに区間新記録の走りでタスキをつないだ。2位には早稲田、3位はIVY選抜となった。
5区6.4㎞、高山豪起(4年)が沿道の声援に手をあげて答えるなど余裕の表情でぺースを保ち、リードを広げてトップを守った。
最終6区10.2㎞、国学院はアンカーに前回5区で区間賞を獲得したキャプテン・上原琉翔(4年)、2位との差は39秒。しかし、2㎞付近で3位の早稲田は箱根駅伝で“山の名探偵”と呼ばれた工藤慎作(3年)が2位のIVY選抜を抜いた。
4.6㎞付近でトップの国学院・上原に早稲田・工藤は詰め寄った。7㎞付近では23秒差と早稲田の工藤も追い上げるが、国学院の上原も落ち着いた走りでペースを刻み、力強い走りを見せた。前半で力を使った工藤に対し、上原は後半、徐々にペースを上げていった。
国学院はキャプテンの安定した走りで逃げ切り、2年連続3度目の出雲路制覇、最初の学生駅伝を制した。アンカーのキャプテン・上原は「自分が優しくしてみんな伸び伸びできたので自分の成果ですね」とチームメイトの笑いを誘い、3区で留学生と対等のレースを見せた野中は「楽しまなきゃ自分は成長できないと思ってしっかり走って、あとは勝てると思っていた」と話した。
4区で区間賞の辻原は「(3区の野中)相棒がすっごい走りをしてきたので僕も頑張りました」と笑顔を見せた。前田康弘監督(46)は「“気づいたら国学院、後半の國學院”今年は自分たちの走りができたんじゃないかと思います」と口にし「この後の全日本、箱根と優勝目指して頑張りたい」と“三冠”のリベンジを誓った。
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