フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ開幕戦フランス大会は17日、アンジェで始まった。
ペアのショートプログラム(SP)に臨んだ世界選手権優勝2度の三浦璃来、木原龍一組(木下グループ)は、ツイストリフトやステップで高評価を受け、79.44点で首位発進。2位のカナダペアに5点以上の差をつけた。
- 「悪夢が見られているのは幸せ」 近畿Vの友野一希が感じる秋の風
演技後には、今季の出場大会の選択理由や、時差調整への取り組みなどについて語った。
報道陣との主なやり取りは以下の通り。
――シーズンベスト(79.94点)に近い点が出ました。GPシリーズでは初めてのフランスです。アンジェの印象はどうでしょうか。
木原 「街自体がすごく素敵で、大会自体もすごく素晴らしい。スタッフの皆さんの『素晴らしい大会にしよう』という思いをすごく感じます。選手たち自身もすごく集中して試合に出場することができていて、素晴らしい経験だなと思います。(自分たちの演技に)ちょっと細かいミスはあったんですけど、しっかりベストに近い点数が出せたので、それもポジティブに良かったかなと思います」
――昨年に引き続き、同じプログラムでのSP。昨年に比べていかがでしょうか。
三浦 「去年も去年で、すごく完成度の高いプログラムだなって思ったんです。シェイリーン(・ボーン)先生に作っていただいて、こんなに最初から最後まで詰まったプログラムが……、本当に最初は大変だったんです。去年はそれで『もう最高の形だ』と思っていたんですけど、今年合宿をさせていただいて、さらに良いもの、さらに詰め詰めで良いものができたので、今シーズンを通してもっと良くなるかなと思っています」
木原 「去年はまだ初めての新しい振付師の先生で。プログラム自体も、なかなかシーズン前半は自分たちのものにできていなかったんですけど、1年を通してやっぱり自信もつきましたし、また今年、課題に合わせて音の編集を変えたりして、より自分たちに合うようにプログラムを変えているので、すごく自信を持っているプログラムに今年もなっています」
――最初のGPで、昨季の世界チャンピオン(三浦・木原組)とその前年度のチャンピオン(カナダペア)の対戦です。モチベーションは高まりましたか?
木原 「おっしゃる通りで、僕たちみんなそうだと思うんですけど、全員がお互い高め合えるチームだと思っているので、こうして試合でけがなく再会できたことは素晴らしいことだと思います」
――得点が出た後、頭を抱えていたのはどうしてですか?
木原 「スピンの出口、3回転のところが4になっちゃったんで、そこのGOE(出来栄え点)のマイナスかなと思ったんで。CS(チャレンジャーシリーズ)2大会でレベルの取りこぼしがショートで細かいの(ミス)があったんですけど、しっかり今日はレベルを取ることができたこと。ただ、スピンのミスが出てしまったので、そこはポジティブにまた次頑張ろうかなと思っています」
――演技後に頭を抱えたのもそこですか。
木原 「それですね」
三浦 「『あー』って言っていました(笑)」
――得点が出た時の「あとちょっと」みたいな感じはどこに対してですか?
木原 「スピンのかなあって。0・何ポイントって。でも、GPの初戦なんで、十分かなっていうのは思います」
三浦 「(CSの)ネーベル(ホルン杯)よりもさらに力を抜いて、自分たちらしい滑りが最初から最後までできたので、良かったかなと思います」
木原 「ネーベル何点だっけ?」
三浦 「78(・19)。だから、まあ全然」
――80点近い点数を安定して出せていますね。
木原 「安定して自分たちの点数が75に乗ってきているので、それは大きいかなって思います」
――お二人を見ていると自然体だと感じます。
三浦 「そうですね、やっぱり先シーズンの失敗ではないんですけど、そういった出来事(完璧をめざしすぎて、スケートを楽しむという気持ちが薄れたこと)が本当に今シーズン良い方向に向いているなって思ってます」
――得点発表前にはどんなことを話しましたか?
木原 「いや、キスクラへの階段がきつすぎて、もう行った瞬間すぐ点数みたいな感じだったので、あんまり話せていないです」
――演技前にはどんな会話がありましたか?
三浦 「本当にいつもと同じで『自分たちのやってきたことを信じて』みたいな感じです」
――この大会をGPの中で最初に選んだのは、時期的な理由からですか?
木原 「1戦目、4戦目が一番感覚的に調整しやすいですし、どうしても今年は(GP)ファイナルが日本なので。本当はNHK杯にやっぱり自国グランプリなので出たかったんですけど、拠点がカナダなのでどうしても調整が難しい」
三浦 「(ファイナルは)まだ決まってないけどね(笑)」
木原 「そうか、そうだね。ファイナルやっぱり目指したいので、目指そうと思った時に、やっぱりそのスケジュールのことも考えて」
――体調管理について、経験を生かして今やっていることなどありますか?
木原 「食事は、海外試合に行った時は結構現地のものを食べることが多かったんです。けど、今年からはアルファ米だったり、いろいろとレトルト食品を持ち込んだりして。あとは乾燥の鍋の素みたいな、鍋キューブを。トラベル用の鍋を持っているので。それを持っていってCSのネーベルの時も作りましたし、昨日も鍋作っていたよね。今回、ホテルが全員キッチン付きなので自炊してます」
――何鍋だったんですか。
三浦 「昨日はキムチ……、一昨日か」
木原 「鶏胸。本当はももでいいかなって思ったんですけど、もも肉がなかったので胸肉入れて、昨日食べて。ゆで卵をゆでたり。今回はキッチンがあるので、自炊の面では楽かな。自炊というか食事の面ですけど」
――先ほど会見中にもプロテインを飲んでいらっしゃいましたが、それもストイックさの表れですか。
木原 「それは栄養士の方から『すぐ試合終わった後に糖質入れるように』っていうアドバイスをいただいていたんで、プロテインだったりゼリー系だったり全部入れて回復するようにしてます」
――カナダを出る時に、ヨーロッパとの時差調整はどのようにされるのでしょうか。
木原 「飛行機の中で今回は、乗ってすぐほとんど寝るように。去年パリでの表彰式(北京五輪の団体銀メダル授与式)に行った時に、少し欲張って機内食を食べようって起きていたら体調を崩したので。やっぱり去年のそれが良い経験になって、ヨーロッパに来る時は飛行機で絶対に全部寝るって決めたので」
――思い切り、全部寝るんですか?
木原 「カナダ時間の朝4時半のフライトだったんですけど、最初から全部寝るっていう計画を立てて、着いてすぐ動けるようにってやってきました」
――ヨーロッパでやる試合に関してはだいぶ慣れましたか?
木原 「意図的に今年はヨーロッパの試合を組んできたので、スケジュール的に。すごく良い練習かなって」
三浦 「比較的、(ヨーロッパの)夜はカナダが昼なので、苦じゃないです」
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。