今年の全日本大学駅伝(日本学生陸上競技連合、朝日新聞社、テレビ朝日、メ~テレ主催、長谷工グループ特別協賛)は11月2日に開催されます。前年8位までのシード8校、全国8地区の学生陸上競技連盟(学連)による選考会で代表に選ばれた17校の計25大学と二つの選抜チーム(オープン参加)が8区間106・8㌔をたすきでつなぎます。
三種の神器「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」がまつられている愛知・熱田神宮の前から走り出し、伊勢湾沿いに南下して「八咫鏡(やたのかがみ)」の三重・伊勢神宮を目指すコースは、江戸時代に庶民の間で流行したという「お伊勢参り」をほうふつとさせます。
駅伝というと「箱根駅伝」が有名ですが、最大の違いは参加する大学です。箱根駅伝は8地区学連のうちの関東学連加盟の大学が競う大会です。全国の代表が集まる全日本大学駅伝は大学日本一を決める公式戦で、正式名称は「秩父宮賜杯(しはい)全日本大学駅伝対校選手権大会」。福岡大、京都産業大が関東の強豪を破って優勝したこともあります。
◇この記事は朝日新聞グループの関連事業を紹介しています。
「速さ」も必要な全日本
走る距離の違いにも両大会の特徴が表れています。往路5区間107・5キロ、復路5区間109・6キロを2日間で駆け抜ける箱根は各区間が20㌔強で、持久力養成を目的に始まりました。
これに対し、全日本は各区間の距離が約10キロ~約20キロと様々です。最短の1区9・5キロから始まり、2区11・1キロ、3区11・9キロ、4区11・8キロ、5区12・4キロ、6区12・8キロ、そして後半は7区17・6キロ、8区19・7キロと距離が伸びます。前半はスピードが求められ、後半にかけて持久力も問われていきます。
10月13日に開催された「出雲駅伝」は「大学選抜駅伝」で、高校野球でいえば、阪神甲子園球場での「夏の選手権」が全日本なら、「春の選抜」が出雲というような関係です。6区間45・1キロと距離も短く、よりスピードが求められます。
それぞれに特徴を持つ出雲、全日本、箱根は「学生3大駅伝」とも言われます。ちなみに、元日の「ニューイヤー駅伝」は「全日本実業団対抗」で企業チームが競う大会です。
午前8時10分に号砲
箱根駅伝の発案者で「日本マラソンの父」と呼ばれる金栗四三氏は55年前、全日本の第1回開催を報じる朝日新聞の朝刊で「個人、個人の力を積み重ね団体で勝負する形式が日本人の気質にぴったりだったのでしょう。駅伝こそマラソンランナーを育てる基盤だ」と論じました。
長距離種目は今、ケニアやエチオピアなどの東アフリカ勢が圧倒的な強さをみせています。その背中を見失わずにいられるのは、駅伝人気で選手層に厚みがあるからこそ。本大会から次のスター選手誕生を期待しています。
すでに10月8日にチームエントリーがあり、各チーム最大16人の競技者が登録されました。30日締め切りのメンバーエントリーでは、各区間を走る競技者、5人の補員が申請されます。
大会当日の11月2日は午前6時過ぎにメンバー変更の受け付けがあり、区間エントリーされた競技者を補員と交代することが3組まで可能です。そして午前8時10分、1区に配置された選手たちが号砲とともに一斉に駆け出します。
国学院、駒沢、青学など有力6校
全日本大学駅伝は9月27日に東北地区選考会が終了し、出場27チームが出そろいました。本大会で日本一の栄冠をつかむのはどの大学でしょうか。
有力なのは次の6校です。10月13日の出雲駅伝を連覇し、2年連続の日本一に挑む国学院大。前回は惜しくも優勝を逃したものの、最多16度の優勝を誇る駒沢大。今年正月の箱根駅伝を制し、7大会ぶりの優勝を狙う青山学院大。関東地区選考会を過去最速タイムで突破した中央大。出雲で2位に入った早稲田大、3位だった創価大にも勢いがあります。
関東以外の大学では、1999年に京都産業大が5位になってから遠のく入賞がまずは目標になります。
27チームが出場
第57回全日本大学駅伝の出場チーム
北海道 札幌学院大学 8大会連続32回目
東北 東北学院大学 2大会ぶり18回目
関東 国学院大学 11大会連続13回目
関東 駒沢大学 30大会連続32回目
関東 青山学院大学 13大会連続15回目
関東 創価大学 4大会連続4回目
関東 早稲田大学 19大会連続31回目
関東 城西大学 3大会連続12回目
関東 立教大学 2大会連続2回目
関東 帝京大学 3大会連続17回目
関東 中央大学 5大会連続32回目
関東 大東文化大学 4大会連続46回目
関東 順天堂大学 2大会ぶり29回目
関東 日本大学 3大会ぶり43回目
関東 東海大学 12大会連続38回目
関東 中央学院大学 3大会ぶり17回目
関東 日本体育大学 2大会連続45回目
北信越 信州大学 4大会ぶり16回目
東海 名古屋大学 2大会ぶり17回目
東海 岐阜協立大学 4大会ぶり5回目
関西 関西大学 3大会連続15回目
関西 大阪経済大学 5大会連続27回目
関西 関西学院大学 2大会ぶり14回目
中国四国 広島経済大学 5大会ぶり24回目
九州 志学館大学 初出場
日本学連 日本学連選抜チーム(オープン参加)
東海学連 東海学連選抜チーム(オープン参加)
公式サイトやXで情報発信
全日本大学駅伝の公式サイト(https://daigaku-ekiden.com/
)では、地区選考会の結果や過去の成績など、詳しい情報を発信しています。また、公式X(@daigaku_ekiden)でも当日朝のメンバー変更などをいち早くお届けします。大会事務局の担当者が運営上の裏話などもつぶやいています。
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