会場がどよめいた。23日、プロ野球ドラフト会議。12球団で最後に、ソフトバンクが米・スタンフォード大の佐々木麟太郎を1位指名したときだ。DeNAに続く指名に他球団の関係者も「2球団が指名するとは」と、驚きを隠せなかった。

  • みそラーメンへのむなしさも糧に 渡米1年、佐々木麟太郎の現在地点

 抽選にのぞんだのは、城島チーフベースボールオフィサー(CBO)。右手で交渉権獲得のくじを引き当てると、後方に座る王会長に目線を移して笑顔を見せた。「ドラフト1位で私たちが佐々木君を指名したというのがメッセージ。十分伝わっていると思います」。

 佐々木は岩手・花巻東高時代に高校生歴代最多の140本塁打を放った左のスラッガーだ。3年生だった2023年もドラフト1位候補に名前が挙がったが、「人生の可能性を広げたい」と留学した。

 佐々木が今回のドラフトで指名されたのは日本野球機構(NPB)と大リーグ機構(MLB)などとの間で調整がついたから。来年7月のMLBドラフトの対象選手でもあるため、入団するかどうかの決断は、その後になる可能性が高い。

 大リーグの球団から指名されれば、ソフトバンクに入団しない可能性もある。それも承知の上での指名だ。

 城島CBOは「リスクを背負ってでも魅力的な選手」「彼の打撃は一芸に秀でている」と佐々木を評した。チームは柳田が37歳、山川が11月で34歳になるなど長距離打者の台頭が急務という事情がある。

 王会長は指名後に佐々木と電話で会話したことを明かし、「すごく喜んでくれて、こっちもうれしかった。一緒に高い目標を持ってがんばろうと伝えた」。

 佐々木のマネジメント会社は指名に感謝したうえで、「今すぐに何かが決まったり、動いたりすることは一切ございません」などとコメントした。交渉期限は、MLBドラフト後の来年7月末となる。

 城島チーフベースボールオフィサー(ソ) ドラフト1位の抽選で佐々木の交渉権を獲得。「縁があるかないかわからないが、うちのチームで活躍するイメージを膨らませると、すごく魅力的な選手。(米国か)どちらを選ぶかは佐々木君の意思を尊重します」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。