阪神タイガースの中継などでおなじみの朝日放送テレビ・高野純一アナウンサーと、朝日新聞スポーツ部のトラ番・大坂尚子記者が定期的に語る「虎バン主義。」。日本シリーズを中心に、振り返りました。
大坂 全日程が終わりました。最終戦となった日本シリーズ第5戦、高野さんはテレビの実況で、岡田彰布前監督(現オーナー付顧問)と元ソフトバンクの川崎宗則さん、中日の松山晋也投手がゲストでした。
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高野 楽しくできました。ロースコアでレギュラーシーズンを勝ってきたけど、そういった試合で勝てなかったのが日本シリーズ。選手は出し切ったと思うし、阪神らしい戦いはできたと思います。
大坂 藤川球児監督も「悔しさはない、相手が強かった」と話していました。少し前に岡田さんにインタビューしたのですが、その際に解説の時は今も「監督目線」で見ていると。そう感じたところはありましたか。
高野 1―0の五回の攻撃ですね。先頭の大竹耕太郎投手が安打で出塁し、近本光司選手も続いて無死一、二塁で、打者の中野拓夢選手は犠打を試みた場面です。岡田さんは本気で走者を送りたいなら、大竹投手に代走を送るべきと言っていました。ここまで1安打投球で代えづらい状況ですが、その思い切りの良さは監督目線だったなと感じます。
大坂 采配で報道陣をうならせてきた岡田さんらしい視点ですね。ほかにもありますか。
高野 「6番にはあまりバントさせたくないねん」と話していたことです。1死二塁で7、8番が打てばいいと考えがちだけど、もし8番で終わったら、次の回が9番の投手からの攻撃になる。そこを懸念していました。実際に「このシリーズ、(打順の)巡りが悪いわ」とも話していました。そう聞くと、6番打者の大切さを実感します。
大坂 私たちはチャンスで中軸が打てなかった時に頼りたい打者、と考えてしまいがちですが、下位打線を考えると、重要性が増しますね。
高野 開幕は高卒4年目の前川右京選手が6番だったけど苦しんだ。彼の成長を期待したいです。でも再来年に指名打者制がセ・リーグでも導入されるので、戦い方は変わりそうです。
大坂 川崎さんはいかがでしたか。
高野 守備の細かい解説が印象的でした。中野選手がファンブルした場面で「両手で捕る時点でバウンドに合っていない。捕ってから右手に流れるように運ぶ方が合わせやすい」と話していました。
大坂 名手らしい視点です。
高野 自身も独立リーグでプレーする現役選手で、大リーグの解説もされている。「久しぶりに日本シリーズを生で見て、レベルの高さに驚いた」と話していました。試合中もプレーに拍手を送る姿もありました。岡田さんとタイプが違うけど、それぞれが他人に流されないので、逆にうまくかみ合ったと思っています。松山投手は現役プロ野球選手らしく、いつごろ準備するのかなど話してくれました。
大坂 10月31日にはオーナーにシーズン終了の報告をした藤川監督が会見しました。そこで「課題は明白」として、「右の速球派リリーフ」と「バックアップ(選手)」を生え抜きで育てる必要性を話していました。
高野 レギュラーをそろえる段階の球団もある中で、細かく言えるのは強いからこそ。特に右のリリーフは藤川監督自身がそうだったし、楽しみです。
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