(デフリンピック東京大会第11日、自転車マウンテンバイク、クロスカントリー・オリンピック)
過去3大会で計三つのメダルをつかんだ早瀬久美にとって、この日は厳しい戦いになった。
2021年の東京五輪とほぼ同じコースで、急傾斜や岩場の攻略が難しかったという。先頭と大差がつくと完走できないというルールにより、7位に終わった。
それでも、レースを終えて、「悔いはないです」と言い切った。
道を切り開いてきた。
- 聞こえないため施設利用NG「ある」 デフリンピックに期待すること
普段は薬剤師として働くが、かつて聴覚障害者は法律の欠格条項により薬剤師の免許をとることができなかった。
「(聞こえないのは)私のアイデンティティー。(法改正という)いばらの道を行くことにした」。先頭に立ち、講演などで訴えた。
その後、200万を超える署名が集まるなど機運が高まり、2001年の法改正へとつながった。
法律が変わり、聴覚障害者として初めて薬剤師免許を取得した頃、聴覚障害のある医療関係者はわずかだった。早瀬が知っている人ばかりだったが、徐々に数が増え、「今では私も分からないくらい、たくさん働いている」。
デフスポーツも同じだと考える。
デフ選手が使う薬について相談に乗っていたことをきっかけに、デフスポーツに興味を持ち、初めてデフリンピックに出場したのは2013年。
その頃に比べれば、レベルの高いコースが設定されるようになり、次世代の選手も増えた。
この日のレースでは、31歳の北島湊が4位に入った。
自身が身を置く世界のことを考えてきた人だから、メダルに届かなくても、「楽しく終えられた」。集大成と位置づけた大会を笑顔で振り返った。
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