「俺たちの誇り 赤黒の勇者 勝利を目指し さあ行こうぜ」――。小2でサッカーを始めた時から、この応援歌が好きだ。北海道コンサドーレ札幌のゴール裏、ピッチに立つ選手たちを鼓舞するサポーターが声をからしながら歌う。30歳になったいま口ずさんでも、胸がいっぱいになる。
今年9月、故郷・札幌に着任した。メインで道庁を任されたが、今季からJ2を戦う「コンサ」の担当も志願した。開幕4連敗、シーズン途中の監督交代と、サポーターとしては正直モヤモヤが続くシーズンだった。
なかなか勝てない。連勝ができない。負け試合の多くは複数失点……。それでも勝ち試合を見せられると、その日に飲む酒はうまい。次の試合までの期間を陽気に過ごせる。それがクラブを「想う」サポーターってもんなのだろう。コンサを愛する私も、今季は往々にしてそんな日々を過ごした。
11月29日、ホームで迎えた最終戦を取材した。記者としてドームに立つのは初めてだ。結果は3―0で勝利。J1昇格の道は絶たれていたが、シーズン通して苦しんだ選手たちは笑顔だった。
試合後、ゴール裏は「WE ARE SAPPORO!」の大コール。私情を挟むようだが、道外勤務の時、アウェー観戦などでコールを聞くたびに故郷を、そしてコンサを誇らしく思った。だからこそ最終戦で聞けて、胸が熱くなった。
快勝の余韻にひたる間もなく、試合後のゴール裏には手書きの横断幕が掲げられ、こう書かれていた。「この一年を絶対に無駄にするな」。赤黒をまとったサポーターたちは、来季に向けて顔を上げている。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。