バレーボールの国内タイトルの一つ、天皇杯・皇后杯全日本バレーボール選手権大会。全国各地区の予選を勝ち抜いたチームが参加した大会もいよいよファイナルラウンドへと突入し、12月14日(日)には準々決勝がおこなわれてベスト4が出揃いました。

連覇目指すサントリーは若手中心の布陣 

 10月から始まったSVリーグを中断して行われた今回のファイナルラウンド。

 昨年度の大会に続く天皇杯制覇を目指すサントリーサンバーズ大阪は、連戦の疲れを考慮して、ヴォレアス北海道との準々決勝ではドミトリー・ムセルスキー選手、小野寺太志選手といったベテラン陣がベンチスタートとなる若手中心の布陣。しかし、普段とは違う布陣がなかなか機能しません。

 リーグ戦では、2試合ともにストレート勝ちをおさめた相手に1、2セットを連取される苦しいスタートとなります。

 3セット目は、王者の意地をみせて取り返しますが、ヴォレアスの勢いを止めることができませんでした。4セット目を、デュースの末に失ってまさかの敗戦、連覇の夢は準々決勝でついえました。

ウルフドッグスはベストメンバーで勢い 堺ブレイザーズを撃破

 サントリーとは対照的に、ベストメンバーを揃えて日本製鉄堺ブレイザーズを撃破したのが、ウルフドッグス名古屋。1セット目を25対23でものにすると、第2セットは、チームとしての底力を発揮します

 このセットは、日本製鉄堺ブレイザーズのマシュー・アンダーソン選手の強烈なサーブに苦しんでリードを許す苦しい展開。

 しかし、セッターの深津英臣選手が「うちは、守備陣がくずれないのが強み。我慢すれば必ずチャンスがくると思っていた」と振り返ったように、強烈なサーブに対して徐々に対応していくと粘り強く戦いながら24対24のデュースに持ち込みます。

 そして、勝負どころでは、今シーズンは、日本代表でもエースを務めた宮浦健人選手と期待の若手・水町泰杜選手が大活躍、重要なポイントをしっかりととり切って、このセットを32対30でものにしました。

 これで、勢いがついたウルフドッグスは、3セット目も日本製鉄堺ブレイザーズを寄せ付けず、3対0のストレートで勝利して準決勝進出を決めました。

ウルフドッグス・水町選手「優勝は意識しているがまずは目の前に相手に集中」

 昨年のSVリーグでは、プレイオフファイナルの準決勝で勝利まであと一歩と迫りながら、優勝したサントリーサンバーズに屈したウルフドッグス名古屋。

 水町選手は、「昨シーズンにしびれる場面を数多く経験したことが、チームとしても個人としても成長につながっている。第2セットの終盤は、気持ちは常に燃えながらも、頭の中は冷静に相手をみて戦うことができた」と大事なポイントでは、無理に強打を狙わずに、冷静にリバウンドをとりながら、チャンスを確実に決めるしたたかさをみせてストレート勝ちに結びつけました。

 その水町選手、天皇杯のタイトルについて問われると、「もちろん優勝は意識しているが、まずは目の前に相手に集中。しっかりと準備して、次の試合で100パーセントのパフォーマンスを出せるようにしたい」と語りました。

ヴィクトリーナ姫路vsSAGA久光スプリングス 昨年度の決勝で戦った両チームの激突

(ヴィクトリーナ姫路の佐々木千紘キャプテン)

 同じ時間、男子の隣のコートで行われた女子の試合では、連覇を狙うヴィクトリーナ姫路とSAGA久光スプリングスが激突。昨年度は決勝で顔を合わせた両チームが早くも対戦しました。

 今シーズンのリーグ戦では、フルセットにもつれ込む大熱戦も繰り広げているこのカード。接戦が予想されましたが。予想に反して一方的な展開となります。

 第1セットこそ、25対23の競り合いの展開になりますが、2セット目以降は、姫路が多彩な攻撃で久光を寄せつけません。序盤でリードを奪うと、そのリードを保ったまま、いずれのセットも押し切りました。

 今シーズンのリーグ戦では、2試合とも敗れている相手に雪辱を果たした快心の勝利に、ヴィクトリーナ姫路の佐々木千紘キャプテンが、「チームとして、1セット目から集中して入っていこうというのが今日のテーマだった、今日はそれが上手くいって、(試合の)流れを呼び込むことができた」と振り返ると、敗れた久光スプリングスの北窓絢音選手は、「リーグ戦で連勝していることもあってどこか甘さが出てしまった。(去年の)決勝で敗れている悔しさもあって、(今年は)やらなきゃいけないという気持ちが力みにつながって、姫路さんにやりたいバレーを徹底的にやられてしまった」と悔しさを言葉にしました。

 代表ではミドルで活躍するも、姫路ではオポジットとして多彩な攻撃の一翼を担った宮部藍梨選手が「それぞれが役割を果たしたうえで、チームとして相手を攻略できている」と手ごたえを口にしたヴィクトリーナ姫路、皇后杯連覇に向けて、あと2つまで迫りました。

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