サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)の宮沢ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)が25日、兄の佳汰さんと神奈川県寒川町で子どもたちを対象にしたサッカーフェスタを開いた。イングランドでプレーし、欧州でのシーズンが続くなか、短い冬のオフ期間に「きょうだい」でのイベント開催にこだわる思いを語った。

 「サッカーをやったことがない子もいると思う。近くの道を通って『楽しそうだな』でもいい。少しでも体を動かす楽しさを感じてほしい」

 宮沢は率直に思いを口にした。

写真・図版
子どもたちとサッカーフェスタを楽しむ宮沢ひなた(中央右)=神奈川県寒川町

 きょうだいでのフェスタは今回で6回目。会場の準備では、出店するキッチンカーやテントを置く位置まで2人が考えた。昼過ぎまでは小学生、午後は中学生なども参加し、いずれも無料だ。協賛してくれる企業の支援は、貧困や格差でサッカーができない子どもたちを支援する団体への寄付にあてる。

 原点には、母子家庭で育ち、兄の佳汰さんとボールを蹴って育った幼い頃の記憶があるという。

 「お母さんが裏で努力をしてくれたおかげで、つらい思いをしたことはなかった」というが、金銭面で遠征に行けなかったこともあった。

 「参加費がかかると『どうしよう』と迷う親御さんもいるかもしれない。無料でサッカーができるなら行きたい、という環境がもっともっと増えたらいいなと思っている」

 小学生時代は、男子のチームにまじってプレーをしていた。当時より女子のチームが増え、女子選手が気軽にプレーできる環境が増えてくれることも祈っている。

写真・図版
子どもたちとボールを追いかける宮沢ひなた(中央)=神奈川県寒川町

 2023年の女子ワールドカップ(W杯)で得点王に輝き、パリ五輪なども経験。この日は、自身のマンチェスター・ユナイテッドのユニホームを着て参加した少女もいた。

 「自分のなかでの責任感が、今まで以上に変わってきているかな。子どもたちに憧れられる存在になれたら」

 トップ選手として、ひとり親家庭で育った一人の人間として。「楽しむことを忘れずに」と語りつつ、社会に与える影響の大きさも自覚しながら、活動していく決意を示した。

写真・図版
サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)の宮沢ひなた(右)と兄の佳汰さん=神奈川県寒川町

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。