「SoftBank ウインターカップ2025」男子準決勝が12月28日、東京体育館で行われた。 悲願の初優勝を狙う東山高校(京都)と、王座奪還を目指す福岡第一高校(福岡)が激突。連携したパスワークで福岡第一のディフェンスを崩した東山が72-58で勝利し、5年ぶりとなる決勝進出を決めた。
意表を突くアシスト合戦、ブザービーターで前半幕引き
第1Q、会場をどよめかせたのは両チームの「パスワーク」だった。東山はゴール下への冷静なパス供給と3ポイントで着実に得点を重ねる。対する福岡第一は、W司令塔である「宮本ツインズ」こと宮本耀選手(3年生)、宮本聡選手(3年生)を中心に攻め立てるが、東山の堅い守備を前に攻めきれずに24秒バイオレーションを取られるなど、重苦しい立ち上がりとなった。
試合が動いたのは第2Q。福岡第一の宮本耀選手(3年生)が鮮やかなノールックパスを通し、流れを呼び込む。そして前半終了間際、福岡第一の長岡大社選手(3年生)が魅せた。一歩後ろにさがりながら3ポイントを放つと、その直後にはハーフタイムのブザーと同時にリングへ吸い込まれるブザービーター。
会場のボルテージが最高潮に達する中、福岡第一は35-36と東山に1点差まで詰めて試合を折り返した。
空中戦のアリウープ、そして「3ポイントの雨」
後半に入ると、東山がペースを握りにかかる。中村颯斗選手(3年生)がディフェンスをフェイクで巧みにかわし、冷静に3ポイントを沈める。しかし、福岡第一も黙ってはいない。兄・宮本聡選手(3年生)が3ポイントラインから後方から放つ「ディープスリー」をねじ込めば、双子のホットラインで弟・宮本耀(みやもと・よう)(3年生)も3ポイントで追撃(46-47)。
この福岡第一の流れを破ったのは、東山のビッグプレーだった。ウェトゥ・ブワシャ・エノック選手(2年生)がリング近くにボールをパスし、佐藤凪選手が空中でキャッチし福岡第一のディフェンスをかいくぐり得点。そのまま、福岡第一の3ポイントシュートを中心にした猛攻をしのぎ切り、東山がリードで最終Qへ突入した。(46-52)
運命の第4Q、東山の絶対的エース・佐藤凪が覚醒
第4Q。逆転するしかない福岡第一は、長岡選手(3年生)が爆発する。東山のルーキー佐藤久遠選手(1年生)がディフェンスからファウルを受けながらもシュートを決め追加でフリースロー(1本)を沈め、突き放しにかかるも、福岡第一・長岡選手(3年生)が2連続の3ポイントで追い上げる(52-55)。
さらに宮本ツインズのホットラインが機能し、兄・宮本聡選手(3年生)のアシストから弟・宮本耀選手(3年生)が3ポイントを沈め、ついに同点(57‐57)。福岡第一の驚異的な粘りに、会場の空気は張り詰めた。
追い上げてくる福岡第一を振り切ったのは、東山の司令塔・佐藤凪選手(3年生)だった。
勝負どころでボールを奪い、チームのディフェンスを牽引。攻撃に転じれば、鋭いドライブで福岡第一の堅守を切り裂き、次々と得点とアシストを演出した。試合が終われば、25得点・10アシストのダブルダブル。圧巻のパフォーマンスでゲームをコントロールし、東山が得意とする「ハーフコートゲーム」で福岡第一をねじ伏せた。(72-58)
明日の決勝は「福岡大濠 vs 東山」
東山が、5年ぶりのファイナルへの切符を掴み取った。敗れた福岡第一も、最後まで諦めない3ポイント攻勢でプライドを見せたが、あと一歩届かなかった。
29日の決勝戦は、インターハイ王者の鳥取城北を破って勝ち上がった福岡大学附属大濠高校(福岡)との対戦となる。 場所は同じく東京体育館メインコート。
悲願の初優勝を狙う東山か、昨年王者・大濠か。冬の高校バスケの頂点を決める戦いは、29日クライマックスを迎える。
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